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CFETR

CFETRは、核融合・プラズマ物理学の装置。中国の核融合開発計画でITERとDEMOの間を埋める次期トカマク装置であり、フェーズIで最大200MW、フェーズIIで1GW級の核融合出力とトリチウム自給を目指す。超伝導磁石や増殖ブランケット、ダイバータ等の工学設計と統合モデリングによる運転シナリオ開発が進められている。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは338本ある。比重が最も大きかったのは2020–2024年で、その期間の論文の1.89%を占めた。直近の2025–2029年では0.65%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは2010年以降で、それ以前の収録論文には現れない。

China Fusion Engineering Test Reactor

目次

  1. 1解説
  2. 2推移
  3. 3研究の変遷
  4. 4よく登場する装置
  5. 5この数字の作り方

解説

CFETR(中国融合工学実験炉、China Fusion Engineering Test Reactor)は、中国が核融合エネルギー実用化に向けて計画した超電導トカマク型装置であり、国際共同実験炉ITERと実証炉DEMOの間の物理的・工学的なギャップを埋めることを目的としている。当初は200 MW規模の核融合出力での定常運転とトリチウム自給を達成し、最終的にDEMOに相当する1 GW級の核融合出力での運転を実証するという、二段階のミッションを掲げている。中国の核融合ロードマップにおける次期主要装置として、設計研究と各種機器の研究開発が進められてきた。

CFETR and blanket design.

fig.2 Conceptual design of solid-type PbxLiy eutectic alloy breeding blanket for CFETR (2023) · CC BY 4.0

CFETR and blanket design.

図はCFETRの全体構成とブランケット設計を示したものである。プラズマを閉じ込める真空容器、その内側のブランケット、外周を取り囲む超電導コイル系など、装置の中核をなす機器の配置が描かれている。

ミッションとロードマップ上の位置づけ

CFETRの運転は二つのフェーズに分けられる。第Iフェーズでは、ITERと同程度のプラズマ条件(プラズマ電流10 MA、大半径5.7 m、トロイダル磁場5.0 Tという初期設計が用いられた)で、燃焼デューティーサイクル50%程度の長パルスないし準定常運転を行い、核融合出力200 MW、エネルギー増倍率Q=3、トリチウム増殖比TBR>1を実証する。ITERとの最大の違いは、トリチウム増殖ブランケットを実装する点にあり、これによりITERでは実証できない燃料自給の技術を検証する。第IIフェーズでは、核融合出力1 GW、Q=12を目標に、DEMOに必要な工学技術の実証を行う。

このロードマップの鍵となる課題は、定常運転(あるいは長パルス運転)と高いデューティーファクター(0.3〜0.5)の両立である。実用炉としての価値は、短時間の高出力実験ではなく、連続的あるいは高稼働率での発電に近い運転にあるため、プラズマ制御・機器の耐久性・燃料循環のすべてが定常条件で成立することが求められる。このためCFETRの設計では、物理設計と工学設計が一体的に進められてきた。

設計は段階的に更新されており、初期の大半径5.7 m、6.6 mという案を経て、2019年時点の最新設計では大半径R=7.2 m、小半径a=2.2 m、プラズマ体積1249 m³(ITERは840 m³)へと拡大された。プラズマ電流は14 MA、プラズマ縦横比に相当する伸長率は2、大半径位置でのトロイダル磁場は6.5 Tである。装置の大型化は、1 GW級の核融合出力と定常運転に必要なプラズマ性能を確保するためのものである。

装置構成と磁場システム

CFETRは超電導コイルによる磁場閉じ込めを採用する。磁場システムは、中心ソレノイド(CS)コイル、トロイダル磁場(TF)コイル、ポロイダル磁場(PF)コイル、補正コイル、およびダイバータコイルから構成される。最新設計ではTFコイル16基、PFコイル6基、6モジュールのCSコイルが置かれる。TFコイルにはNb₃Sn系の導体が用いられ、ケーブル・イン・コンジット導体(CICC)の形で巻かれる。矩形断面のCICCを採用する案と円形断面を採用する案が検討され、矩形導体ではTFコイルの機械的安定性と巻線密度の向上が期待された。

Overview of structure and cross-section distribution of the CFETR magnet system.

fig.01 Conceptual design of the cryogenic system and estimation of the recirculated power for CFETR (2017) · CC BY 4.0

Overview of structure and cross-section distribution of the CFETR magnet system.

図はCFETR磁場システムの構造と断面配置を示したものである。中心軸周りに配置されたCSコイル、その外側を取り囲むD字形のTFコイル群、プラズマの平衡を制御するPFコイルの配置が確認できる。

磁場システムの設計上の課題は、大電流密度と高磁場の両立から生じる巨大な電磁力と蓄積磁気エネルギーにある。正常運転時だけでなくクエンチ(超電導状態の喪失)や緊急遮断などの故障時を含めて、磁場強度・応力・ホットスポット温度が許容基準内に収まることを、電磁解析・構造解析・熱水力解析で確認する必要がある。クエンチ時には導体内部の温度上昇とコンジット内ヘリウム圧力の急上昇が生じるため、その伝播挙動の評価が安全性の要となる。また、TFコイルの内側脚部は半径方向に2.29 mから3.48 mという限られた空間に収められ、この制約が機械設計上の難題となっている。プラズマのトロイダル磁場リップルの評価と強磁性体インサートによる低減の検討も行われている。

超電導コイルを4.5 K程度に冷却するための極低温システムは、ヘリウムと窒素の冷凍機、80 Kヘリウムループ、熱遮蔽、バルブボックスなどから構成される。このシステム自体が数十MW級の電力を消費するため、補機類が消費する再循環電力の一部として、装置全体の実効的な発電性能(Q)に影響を与える。特に定常運転を狙う装置では、再循環電力の評価が設計の妥当性判断に直結する。

運転シナリオとプラズマ物理

CFETRの物理設計の中心課題は、高核融合出力(1 GW級)、定常運転に必要な高ブートストラップ電流比、そして熱・粒子排気と両立するプラズマ縁の三つを同時に満たす運転シナリオを構築することである。電流駆動には、高周波電子サイクロトロン加熱、下偏波電流駆動(および高速波)、そして軸外注入の負イオン中性粒子ビーム入射(NBI)が組み合わせて用いられる。これらの加熱・電流駆動装置は、プラズマ電流分布を能動的に制御し、定常状態を実現する手段となる。

運転シナリオの候補として、通常のHモードと反転磁気せん断(RS)Hモードの二つが検討されている。コアと縁を結合した統合モデリングによる評価では、三角形状パラメータδの効果が二つのシナリオで逆になることが示された。通常Hモードではδを高めるほどペデスタル温度が上昇し、コアの輸送が硬い(stiff)ことと相まって核融合性能が向上する。一方、RS Hモードでは低δのときに内部輸送障壁(ITB)が強く形成され、ITB内側の密度・温度が高まることで高い核融合出力が得られる。ペデスタル密度を固定した場合のこの対比は、磁気せん断と衝突頻度が輸送に与える効果の違いから説明される。また、ペデスタル温度を固定した場合には、高δでペデスタル密度が上昇しコアまで及ぶことが支配的となり、いずれのシナリオでも核融合出力が大きく増大する。ただし、この高密度運転が効率的な熱・粒子排気に必要な縁密度条件と両立するかが、実用化の分かれ目となる。

不純物の影響も統合モデリングで評価されており、コアへの不純物侵入が定常シナリオの性能を左右する要因として扱われている。これらのシナリオ研究は、個別の物理モデルではなく、輸送・平衡・加熱・縁プラズマを結合した多次元コード群による自己無撞着な解析に基づいて行われている点に特徴がある。

増殖ブランケットとトリチウム自給

ブランケットは、トリチウム増殖、核熱の除去、放射線遮蔽という三つの機能を担うCFETRの中核機器である。トリチウム自給を実証するというミッション上、TBR>1.0を達成できる設計であることが絶対条件となる。CFETRでは技術リスクを分散するため、固体増殖ブランケットと液体増殖ブランケットの二系統が並行して開発された。

固体増殖ブランケットの代表が水冷却セラミック増殖ブランケット(WCCB)であり、トリチウム増殖材としてリチウム含有セラミックペブル(Li₂TiO₃やLi₄SiO₄)、中性子増倍材としてベリリウム系ペブルを用い、冷却板で核熱を除去する構成である。ベリリウムは資源が限られ価格が高いため、使用量を抑える工夫が検討されてきた。一方、液体増殖ブランケットとしては中国の双機能リチウム鉛(DFLL)試験ブランケットモジュールが検討され、Pb₈₃Li₁₇共晶合金(融点約235 ℃)を用いて、液体の流動により核熱とトリチウムを炉外に取り出し、オンラインでのトリチウム回収と燃料制御を行う方式が研究された。さらに、PbとLiの原子比を調整した高融点のPb-Li系固体材料を増殖材と増倍材の両方に使う新しい固体ブランケットの概念も提案されている。

WCCB blanket structure design.

fig.3 Conceptual design of solid-type PbxLiy eutectic alloy breeding blanket for CFETR (2023) · CC BY 4.0

WCCB blanket structure design.

図はWCCBブランケットの構造設計を示したものである。増殖材・増倍材のペブルベッド領域と冷却板の積層構造、およびモジュールを構成する支持構造が描かれている。

ブランケットの設計では、中性子工学の観点からTBRの最適化が繰り返し行われた。第一壁の設計、ポート開口がブランケットや超電導コイルに与える影響、加熱装置や診断装置との界面構成がTBRに及ぼす影響などが評価され、遮蔽設計がコイルと真空容器の許容値を満たすまで複数回の中性子計算による反復設計が行われた。真空容器は16セクターから構成され、各セクターに内側ブランケット2セグメントと外側3セグメントが置かれ、上部ポートから遠隔保守工具により着脱される。ブランケットと他システムとの界面設計は、熱膨張、電磁負荷、遠隔保守の実現可能性という制約の中で定義される必要があり、システム間の依存関係が強いことから設計上の重要課題とされた。また、炉内機器から発生するトリチウムダストの除染方法や、水素同位体分離のための極低温蒸留塔の動特性と制御など、燃料循環に関わる研究も進められている。

ダイバータとパワー排気

1 GW級の核融合出力を達成するCFETRでは、コア領域からスクレイプオフ層(SOL)へ約200 MWの熱が流れ出し、これをプラズマ対向機器、とりわけダイバータターゲットで受けることになる。定常状態でのターゲット熱負荷を10 MW/m²以下に抑えることが設計上の最大の課題の一つであり、パワー排気の解決策が詳細に検討されている。

The sketch of baseline divertor geometry(reference) and long leg divertor geometry for CFETR.

fig.10 SOLPS-ITER simulations of high power exhaust for CFETR divertor with full drifts (2022) · CC BY 4.0

The sketch of baseline divertor geometry(reference) and long leg divertor geometry for CFETR.

図はCFETRの基準ダイバータ形状とロングレグダイバータ形状の概念図である。X点からターゲットまでのレグの長さが両者でどのように異なるかが対比して描かれている。

熱負荷低減の第一の手段は、アルゴン、ネオン、窒素といった低Z不純物をシードしてSOL・ダイバータ領域での放射損失を増やすことである。SOLPS-ITERコードを用い、ドリフトを含む全項計算による評価では、これらの不純物シードによる放射冷却がターゲット熱負荷の低減に有効であることが確認された。第二の手段はダイバータ幾何形状の最適化であり、X点とターゲットの間のポロイダル距離(レグ長)を延長することで放射体積を増やし、熱をより広い領域に分散させる方式が検討された。これは日本のDEMO設計でも採用が検討されてきた手法であり、CFETRでも不純物シードと組み合わせた効果が評価されている。ダイバータ部材の構造解析や、遠隔保守に適合するダイバータ構造の概念設計も並行して進められている。

まとめ

CFETRは、ITERでは実証できない定常運転・トリチウム自給・工学課題の検証を担う、中国の核融合ロードマップの中核装置として設計研究が進められてきた。大半径7.2 m、プラズマ電流14 MA、トロイダル磁場6.5 Tという装置条件のもとで、超電導磁場システム、増殖ブランケット、ダイバータ、燃料循環、遠隔保守の各システムが一体的に設計され、統合モデリングによる運転シナリオの構築と、主要機器の実証研究開発が並行して行われている。ITERとDEMOの間のギャップを埋めるという位置づけにおいて、CFETRは物理と工学の両面で次世代核融合炉に向けた技術基盤を形成する装置である。

この解説が根拠にした論文から

  • [1]Overview of the present progress and activities on the CFETRNuclear Fusion 2017
  • [2]Progress of the CFETR designNuclear Fusion 2019
  • [3]Electromagnetic, mechanical and thermal performance analysis of the CFETR magnet systemNuclear Fusion 2015
  • [4]Progress in the conceptual design of the CFETR toroidal field coil with rectangular conductorsNuclear Fusion 2020
  • [5]Interface design of the blanket system for CFETRNuclear Fusion 2020
  • [6]Conceptual design of the cryogenic system and estimation of the recirculated power for CFETRNuclear Fusion 2017

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推移

0.01.12.2CFETR197019801990200020102020%
図1 — CFETRが、5年ごとにその期間の全論文に占めた割合。コーパスは2010年代が1970年代の9倍あるため、件数のままでは何もかもが増加して見える

研究の変遷

2005–20145本 · 0.03%

概念設計と中性子解析の出現

2005-2014年では、CFETRはコーパス全体の0.03%と極めて小規模でありながら、超伝導磁石システム、遮蔽、中性子解析、増殖ブランケットといった設計基盤を扱う5件の論文が現れる。例えば2013年の「Concept design of CFETR superconducting magnet system based on different maintenance ports」や「Neutronics analysis of inboard shielding capability for a DEMO fusion reactor CFETR」が代表的である。

同時に語られた主題遮蔽、中性子工学、磁石システム、増殖ブランケット

この時代の論文から

  • [1]Concept design of CFETR superconducting magnet system based on different maintenance portsFusion Engineering and Design 2013
  • [2]Neutronics analysis of inboard shielding capability for a DEMO fusion reactor CFETRFusion Engineering and Design 2013
  • [3]An electro-hydraulic servo control system research for CFETR blanket RHFusion Engineering and Design 2014
  • [4]Conceptual design of a water cooled breeder blanket for CFETRFusion Engineering and Design 2014

2015–2026333本 · 1.33%

設計進展と周辺装置・実験との連携

2015-2026年では、CFETRはコーパス全体の1.35%へと成長し、328件の論文が現れる。ここでは水冷却セラミック増殖ブランケット(35件)、増殖ブランケット(25件)、真空容器(22件)、トリチウム(17件)などと共に論じられ、iter、east、diii-dといった既存装置との関連も見られる。「Overview of the present progress and activities on the CFETR」(2017)や「Progress of the CFETR design」(2019)、「Evaluation of CFETR as a Fusion Nuclear Science Facility using multiple system codes」(2015)が代表的な成果である。

この記述以降に論文が追加されている

同時に語られた主題水冷却セラミック増殖材、増殖ブランケット、真空容器、トリチウム、中性子工学、ヘリウム

この時代の論文から

  • [1]Overview of the present progress and activities on the CFETRNuclear Fusion 2017
  • [2]Progress of the CFETR designNuclear Fusion 2019
  • [3]Recent advances in EAST physics experiments in support of steady-state operation for ITER and CFETRNuclear Fusion 2019
  • [4]Evaluation of CFETR as a Fusion Nuclear Science Facility using multiple system codesNuclear Fusion 2015

よく登場する装置

iter8east6diii-d2

この数字の作り方

数え方 —
同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
割合 —
その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
記述 —
その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
冒頭の定義 —
用語そのものの説明だけは、論文62本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
解説 —
では、10本の論文(うち全文4本)と4枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
範囲 —
収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない

CFETR

種別
装置
論文数
338 本
初出
2010–2014 年(5本)
最盛期
2020–2024 年1.89%
直近
2025–2029 年0.65%
主な装置
itereastdiii-d

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