負イオン源(Negative ion source)は、核融合・プラズマ物理学の装置。中性粒子入射(NBI)加熱・電流駆動のために水素や重水素の負イオンを生成・引き出し、高電圧で加速する装置である。セシウム蒸着による低仕事関数表面での表面生成と、磁気フィルタによる電子温度・共引き出し電子の抑制が動作の要となる。ITER級では大型RF源が開発されている。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは138本ある。比重が最も大きかったのは2020–2024年で、その期間の論文の0.42%を占めた。直近の2025–2029年では0.40%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1990年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
負イオン源(negative ion source)とは、水素や重水素の原子から電子を一つ余分に受け取った負イオン(H⁻、D⁻)をプラズマ中で大量に生成し、電場で引き出して加速する装置である。核融合研究においては、高エネルギー中性粒子入射装置(NBI)のイオン源として決定的な役割を果たす。正イオンを前駆体とする従来のNBIでは、入射エネルギーが150 keVを超えるとガスによる中和効率が30%未満に落ちて実用にならないのに対し、負イオンを前駆体とすれば1 MeV級でも中和効率が55%以上を保てる。このためITER(1 MeV、1台あたり最大16.5 MW・3600 s)、JT-60SA(500 keV)、CFETR(1 MeV・40 MW)といった大型装置はいずれも負イオン源型NBI(NNBI)を採用しており、負イオン源は核融合炉の主要加熱機器の中核部品となっている。
高エネルギー中性粒子入射における役割
磁場閉じ込めプラズマの加熱と電流駆動には、高周波加熱と並んで高エネルギー中性粒子ビームの入射が用いられる。装置の大型化に伴いコアプラズマまで粒子を到達させるには入射エネルギーを上げる必要があり、その要求はすでにMeV域に達している。負イオン源型NBIの典型的な目標は、例えば中国のCRAFT計画では水素原子ビーム2 MWを200–400 keVで100 s注入することとされており、負イオン源はこの系全体の起点となる。
ただし負イオンを用いることには固有の困難がある。負イオンの生成は正イオンより難しく、損失は起きやすいため、引き出せる電流密度は正の数分の一(5–10倍劣るという評価もある)に留まる。さらにプラズマ中の電子は負イオンと比べてはるかに密度が高く、引き出しの際に不要な電子が大量に「共引き出し」される。このため負イオン源では、いかに負イオン生成を増やし、電子の共引き出しを抑えるかが性能の鍵となる。CRAFTの1/4サイズ源では、140 A m⁻²のH⁻引き出しを105 s継続し、その際の電子と負イオンの電流比を0.8に抑えた例が報告されている。
推移
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研究の変遷
1985–19941本 · 0.02%
負イオン源研究の初期応用
この時代の論文は、シートプラズマを利用した大面積負イオン源の特性に焦点を当てており、負イオン生成の基礎的な理解を目指している。同時期の関連語はNegative ionのみであり、装置や具体的な応用はまだ限定されている。代表的な論文としては、1990年の「Characteristics of a sheet plasma and its application to a large extraction area negative ion source」がある。
同時に語られた主題負イオン
この時代の論文から
- Characteristics of a sheet plasma and its application to a large extraction area negative ion sourceReview of Scientific Instruments 1990
1995–20049本 · 0.09%
中性粒子入射装置への展開
この時代には、負イオン源が中性粒子入射(Neutral beam)やITER中性粒子入射(ITER neutral beam)と関連付けられ、高電流・高エネルギー化が進められた。JT-60UやITERといった大型装置向けの開発が中心となり、MeV級中性粒子入射用の加速器開発も扱われている。代表的な論文として、2003年の「Development of high performance negative ion sources and accelerators for MeV class neutral beam injectors」や2001年の「Progress in the development of a large RF negative ion source for fusion」が挙げられる。
よく登場する装置
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文39本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、8本の論文(うち全文5本)と1枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない

