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DEMO

DEMO(demo reactor、demo fusion reactor)は、核融合・プラズマ物理学の装置。ITERに続く核融合発電実証炉であり、定常運転とトリチウム自己供給、数百MWの正味発電を目指す。トカマク型を中心に各国で概念設計が進められ、ブランケット、ダイバータ、炉心プラズマ制御など統合的な課題を抱える。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは1,091本ある。比重が最も大きかったのは2020–2024年で、その期間の論文の3.94%を占めた。直近の2025–2029年では1.86%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1990年以降で、それ以前の収録論文には現れない。

目次

  1. 1解説
  2. 2推移
  3. 3研究の変遷
  4. 4よく登場する装置
  5. 5この数字の作り方

解説

DEMO(デモ、実証発電所(demonstration power plant)の略で、核融合発電の実証を行う装置を指す)は、国際熱核融合実験炉 ITER の次に位置づけられる原型炉・実証炉の総称である。プラズマの生成・制御という物理の実証を目的とする ITER と、商業炉としての発電所との間に横たわるギャップを埋め、実際に発電を行い、トリチウムを自給できる閉じた燃料サイクルで運転できることを示すという使命を持つ。現在は欧州、日本、韓国などがそれぞれ独自の DEMO 概念設計を進めており、いずれもトカマク方式を基本としているが、設計方針には差がある。

Poloidal cross-section of JA DEMO.

fig.1 Application of non-integer-n RMP coil current waveform for ELM control in JA DEMO (2026) · CC BY 4.0

Poloidal cross-section of JA DEMO.

図は日本の DEMO 概念(JA DEMO)のポロイダル断面である。真空容器内にブランケット、導電性シェル、トロイダル場コイルが配置され、上部・下部のポートが見える。このように DEMO は ITER と同様のトカマク構成をとるが、発電プラントとしての要求が設計の主導権を握る点で実験装置とは根本的に異なる。

DEMO という装置:使命と ITER との関係

DEMO の使命は、(1) 正味の電力を系統に送り出せること、(2) リチウムから増殖したトリチウムで燃料サイクルを閉じられること、(3) 商業炉につながる信頼性・可用率で運転できること、と要約できる。ITER が 400 MW 級の融合出力を数百秒程度のパルスで目指す実験炉であるのに対し、DEMO は数時間から定常運転を目標とし、発電所としての統合性が問われる。ただし「ITER と商業炉の間のどこに置くか」については統一的な合意はなく、技術の成熟度と開発日程の兼ね合いで位置づけが変わる。

この不確実性への対応として、欧州では「低外挿」設計という方針が採られた。これは ITER で実証済みの物理・技術の範囲からあまり遠くへ外挿しない、保守的な選択であり、パルス運転を許容する代わりに技術的リスクを下げるものである。一方、日本の JA DEMO は定常運転を目標とし、全誘導起動に必要な中心ソレノイドの空間を確保するため主要半径を 8.5 m と大きくとり、融合出力を 1.5 GW 級に抑えてダイバータ設計の難度を下げる方針をとった。韓国の K-DEMO は二段階開発を構想し、第一段階で正味発電とトリチウム自給と部材試験施設としての運転を行い、第二段階で炉内機器を交換して 500 MWe 級の発電を示すという計画である。このように DEMO は単一の設計ではなく、各国の戦略を反映した設計群である。

なお、DEMO に至る経路として、パルス運転の起動・電流駆動の問題や、ストラレータを ITER から DEMO への道筋とする構想も議論されているが、本稿ではトカマク型の主流設計を中心に述べる。

基本設計点とシステムコード研究

DEMO のような装置は、プラズマ物理、超伝導磁石、核・熱・構造設計が互いに強く結合しており、個別の詳細設計の前に、装置全体の整合的な「基本設計点(baseline design point)」を決める必要がある。このために用いられるのがシステムコードと呼ばれる設計最適化ツールであり、プラズマの閉じ込め性能のスケーリング則、磁石の工学的制約、ブランケットの厚みや遮蔽要求、発電効率などを一括してモデル化し、正味電力やパルス長を最大化する設計点を探索する。

欧州では 2017 年のパルス設計を基本点として、正味電力 500 MWe 級、融合出力 2 GW 級、主要半径 9.1 m という反復運転型の設計(EU DEMO1)が検討されてきた。これは ITER の性能を保守的に改善する前提に立つものであり、より楽観的な物理を仮定する DEMO2 と対をなす。システムコード研究の重要な帰結の一つは、設計点が入力パラメータの不確かさにどう感じるかの定量化である。プラズマの縦横比や断面の伸長率(elongation)などの物理パラメータ、構造材の許容応力や磁石の限界などの技術パラメータの不確かさを確率論的に伝播させると、正味電力とパルス長のばらつきが大きく広がり、特に伸長率の影響が最も大きいことが示された。これは、DEMO の性能予測がまだ個々の物理・技術の仮定に強く依存しており、どの研究開発が設計の不確実性を最も効率的に減らすかを優先順位づける根拠になることを意味する。設計の成熟度を技術準備度(TRL)で管理し、研究開発の進捗に応じて技術戦略を柔軟に更新するシステムエンジニアリングの枠組みが、この段階から重視されている。

増殖ブランケットとトリチウム燃料サイクル

DEMO で最も新規性が高く、ITER では実証されない要素が増殖ブランケットである。ブランケットはプラズマ面に面する第一壁と、中性子の減速・増殖領域からなり、リチウムを含む増殖材に中性子を吸収させてトリチウムを生成すると同時に、核融合出力の大部分を熱として回収する。発電所として成立するためには、消費するトリチウムより多くを生成する増殖比(TBR)が 1 を超える必要があり、これは中性子の増殖・減速・吸収のバランスで決まるきわめて厳しい要求である。

欧州 DEMO では二つの概念が並行して検討されてきた。一つはヘリウム冷却ペブルベッド方式(HCPB)で、固体増殖材(リチウム系セラミックのペブル)とベリリウム系の中性子増倍材を充填し、加圧ヘリウムで冷却する。もう一つは水冷却リチウム鉛方式(WCLL)で、液体のリチウム鉛合金が増殖材と増倍材を兼ね、加圧水で冷却する。冷却材の選択は発電プラントの熱サイクル(二次系)の設計にも直結し、ヘリウム冷却は熱伝達性能とポンプ動力の点で、超臨界圧水は腐食の点で課題を持ち、加圧水が最も既存の発電プラント技術と整合しやすいと評価されてきた。K-DEMO でも水冷却セラミック増殖ブランケットで TBR > 1 が達成可能とされている。

A concept view of an indicative blanket module.

fig.ig12 Design concept of K-DEMO for near-term implementation (2015) · CC BY 4.0

A concept view of an indicative blanket module.

図は増殖ブランケットモジュールの概念図である。RAFM 鋼(低活性フェライト・マルテンサイト鋼)の構造材と冷却材の流路、増殖材と増倍材の混合ペブルの充填領域、冷却材の出入口とパージガスの流路が示されている。パージガスは増殖材中で生成したトリチウムを回収するためのものであり、ブランケットが熱回収器であると同時にトリチウム生産・回収装置でもあることを示している。

トリチウム燃料サイクルの観点からは、世界のトリチウム供給がきわめて限られていることが特筆される。DEMO の起動に必要な初期装荷トリチウムを外部供給で賄うこと自体が制約となりうるため、増殖性能の実証は DEMO の必須要件であり、その開発・認証には実機相当の中性子環境での試験が不可欠とされる。ブランケットの構造解析、MHD(磁場中の液体金属流動)を含む熱流動解析、水素同位体の金属構造材への透過試験などが、この認証のための要素技術として進められている。

排熱とダイバータ設計

DEMO 設計で最も厳しい物理・技術課題の一つが、プラズマから壁面への排熱である。融合出力 1.5~2 GW 級の装置では、主プラズマからスクレイプオフ層を通じてダイバータへ導かれる熱流が数百 MW に達し、これをターゲット板の許容熱負荷(中性子照射下で 10 MW/m² 級)に収めなければならない。ITER では全加熱出力の 6~7 割を放射で除熱すれば足りるが、DEMO では 8 割以上の放射率が必要とされる。このため不純物(例えばアルゴン)を種まきしてプラズマを冷却し、ダイバータを部分的に脱離(デタッチメント)させて熱負荷を分散させる運転が基本戦略となる。日本の 1.5 GW 級定常 DEMO のシミュレーションでは、ダイバータ脚長 1.6 m の長脚ダイバータと不純物種まきにより、外側ターゲットの付着域でピーク熱負荷を約 5 MW/m² まで、内側ターゲットでは完全脱離により 10 MW/m² 未満に抑えられる見通しが示されている。

One cassette design of the divertor.

fig.8 Preliminary accident analysis of the loss of vacuum in vacuum vessel for the European DEMO HCPB blanket concept (2024) · CC BY 4.0

One cassette design of the divertor.

図はダイバータカセットの一設計例である。カセット本体の前面に内側・外側ターゲットが配置され、中性子遮蔽ライナ、リフレクタ、冷却管の出入口が示されている。ターゲット近傍の高熱流束部にはタングステンモノブロック構造と CuCrZr 銅合金の冷却管が用いられ、熱流動解析ではタングステン表面最高温度約 1020 ℃、銅合金管約 330 ℃、原子変位率(dpa)で年間 0.5~1.5 という照射環境が評価されている。これらはプラズマ対面材・構造材の許容範囲に収まることを示すものである。

排熱問題はダイバータの形状だけでは解決しない。H モード運転に伴うエッジ局在モード(ELM)の大振幅パルスは炉内機器を損傷しうるため、共鳴磁場摂動(RMP)コイルによる ELM 抑制が DEMO でも検討されている。JA DEMO では、コイル電流波形に非整数のトロイダルモード数を用いることで、許容できる副作用(高エネルギー粒子損失や MHD 不安定の誘発)を保ちつつ必要コイル電流を約 150 kAT まで下げられる可能性が示されている。長期運転する DEMO では一部コイルの故障を許容できる設計の柔軟性も要求される。さらに、DEMO のエッジ条件に近い環境で多様なダイバータ概念(従来型タングステンダイバータ、液体金属ダイバータ、スノーフレークや X ダイバータなどの先進磁場配位)を試験するための専用装置(ダイバータトカマク試験施設 DTT)の構想も進められている。

プラント統合:熱サイクル、保守、安全

DEMO は発電プラントである以上、炉心の設計とプラント全体の設計を同時に成立させなければならない。ブランケットやダイバータで回収した熱は一次冷却系を経て二次系に伝えられ、タービンで発電されるが、パルス運転では出力が周期的に変動するため、蓄熱装置や補助ボイラで系統側への影響を平滑化する設計が課題となる。熱サイクルの解析では、蓄熱なしで補助ボイラを併用する構成など、二次系の複数の概念が評価されている。

保守・交換の設計も発電所の可用率を左右する。K-DEMO では大型の炉内機器モジュールを垂直に引き抜く保守概念を採用し、そのための空間を確保するようトロイダル場コイルの配置を決めている。ブランケットやダイバータは中性子照射と熱疲労により定期的な交換を要するため、ポート寸法、セクタ分割、リモートハンドリングは設計の初期段階から制約条件として組み込まれる。

安全性の面では、設計基準事故および設計基準を超える事故の決定論的解析が概念設計段階から実施されている。欧州 DEMO の HCPB 概念では、冷却材喪失事故、熱シンク喪失、真空容器の真空喪失(空気の大量侵入)など、機能故障モード解析で同定された代表的な初期事象について、システムコードを用いて放射性物質(トリチウム、タングステンダスト)の移行と線量評価が行われている。真空喪失時には湿った空気が真空容器内に入ることでタングステン表面との酸化反応により水素が生成しうるため、その評価が重要となる。このような解析は、DEMO が立地許認可の対象となりうる核融合発電所であることを改めて示しており、物理・技術の設計と並んで、安全設計が概念設計の枠組みを規定する要素となっている。

この解説が根拠にした論文から

  • [1]European DEMO design strategy and consequences for materialsNuclear Fusion 2017
  • [2]The physics and technology basis entering European system code studies for DEMONuclear Fusion 2017
  • [3]Design concept of K-DEMO for near-term implementationNuclear Fusion 2015
  • [4]Studies of power exhaust and divertor design for a 1.5 GW-level fusion power DEMONuclear Fusion 2017
  • [5]DTT: a divertor tokamak test facility for the study of the power exhaust issues in view of DEMONuclear Fusion 2017
  • [6]Power exhaust concepts and divertor designs for Japanese and European DEMO fusion reactorsNuclear Fusion 2021

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推移

0.02.34.6DEMO197019801990200020102020%
図1 — DEMOが、5年ごとにその期間の全論文に占めた割合。コーパスは2010年代が1970年代の9倍あるため、件数のままでは何もかもが増加して見える

研究の変遷

1985–19949本 · 0.16%

ブランケット設計の時代

DEMOは主に増殖ブランケットの設計課題として現れ、水冷却鉛リチウム増殖ブランケットや欧州セラミックBITブランケットの熱流動・中性子解析が行われた。ITERが関連機器として登場する。

同時に語られた主題DEMOブランケット、トリチウム、増殖ブランケット、トリチウム輸送、固体増殖材、プラズマディスラプション

この時代の論文から

  • [1]A water cooled, lithium lead breeding blanket for a DEMO fusion reactorFusion Engineering and Design 1991
  • [2]Tritium transport in the water cooled Pb17Li blanket concept of DEMOFusion Engineering and Design 1991
  • [3]First adaptation of the European ceramic B.I.T. blanket design to the updated DEMO specificationsFusion Engineering and Design 1991
  • [4]Thermal hydraulic analysis of the basic breeder module of the European ceramic BIT DEMO blanketFusion Engineering and Design 1991

1995–200421本 · 0.21%

ブランケット研究の展開

DEMOはブランケット研究を中心に、固体増殖・液体金属増殖の各設計とR&Dが概観され、ヘリウムやトリチウム透過も扱われた。ロシアのプラント研究もこの時期に見られる。

同時に語られた主題DEMOブランケット、鉛リチウム共晶、ヘリウム、増殖ブランケット、リチウム、水冷却鉛リチウム

この時代の論文から

  • [1]Neutronics experiments for DEMO blanket at JAERI/FNSNuclear Fusion 2003
  • [2]Status of EC solid breeder-blanket designs and R&D for DEMO fusion reactorsFusion Engineering and Design 1995
  • [3]Overview of EU activities on DEMO liquid metal breeder blanketsFusion Engineering and Design 1995
  • [4]Overview of the Russian Demo plant studyFusion Engineering and Design 1995

2005–2014183本 · 1.19%

プラズマ課題への広がり

DEMOはブランケットに加え、トカマク物理やダイバータ、電流駆動といったプラズマ課題へ広がり、ITERやJT-60SA、MAST、JETなどの実験装置との関連で論じられた。テストブランケットモジュールやヘリウム冷却ペブルベッドの設計研究も並行している。

同時に語られた主題トリチウム、ヘリウム、テストブランケットモジュール、ヘリウム冷却ペブルベッド、ブランケットモジュール、鉛リチウム共晶

この時代の論文から

  • [1]On the physics guidelines for a tokamak DEMONuclear Fusion 2013
  • [2]Compact DEMO, SlimCS: design progress and issuesNuclear Fusion 2009
  • [3]DEMO divertor limitations during and in between ELMsNuclear Fusion 2014
  • [4]Electron-cyclotron-current-drive efficiency in DEMO plasmasNuclear Fusion 2013

2015–2026878本 · 3.51%

統合設計戦略の時代

DEMOは欧州の設計戦略・段階的設計・システムコード研究として総合化され、増殖ブランケットや第一壁、熱流動との関連が強まった。K-DEMO設計も現れ、ITERやASDEX-Upgrade、JT-60SAなどとの接続が続く。

この記述以降に論文が追加されている

同時に語られた主題増殖ブランケット、水冷却鉛リチウム、トリチウム、ヘリウム冷却ペブルベッド、第一壁、熱水力

この時代の論文から

  • [1]European DEMO design strategy and consequences for materialsNuclear Fusion 2017
  • [2]Overview of the DEMO staged design approach in EuropeNuclear Fusion 2019
  • [3]Advances in the physics basis for the European DEMO designNuclear Fusion 2015
  • [4]The physics and technology basis entering European system code studies for DEMONuclear Fusion 2017

よく登場する装置

iter64asdex-upgrade6jt-60sa5mast1kstar1jet1

この数字の作り方

数え方 —
同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている(DEMO、demo reactor、demo fusion reactor など)。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
割合 —
その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
記述 —
その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
冒頭の定義 —
用語そのものの説明だけは、論文120本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
解説 —
では、10本の論文(うち全文6本)と3枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
範囲 —
収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない

DEMO

種別
装置
論文数
1,091 本
初出
1990–1994 年(9本)
最盛期
2020–2024 年3.94%
直近
2025–2029 年1.86%
ほかの綴り
demo reactor、demo fusion reactor
主な装置
iterasdex-upgradejt-60samast

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