イオンサイクロトロン加熱(Ion cyclotron heating、ICRF、ICRH)は、核融合・プラズマ物理学の手法。磁場閉じ込め核融合プラズマにおいて、イオンサイクロトロン共鳴周波数帯の電磁波をアンテナから入射し、共鳴層でイオンを加熱する手法である。少数種加熱や高調波加熱など複数のシナリオがあり、高エネルギーイオンの生成や電流駆動にも用いられる。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは767本ある。比重が最も大きかったのは1980–1984年で、その期間の論文の3.58%を占めた。直近の2025–2029年では1.26%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1975年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
イオンサイクロトロン共鳴加熱(Ion Cyclotron Resonance Heating、ICRH、またはイオンサイクロトロン周波数帯加熱 ICRF)は、磁場閉じ込めプラズマに対する主要な外部加熱法の一つであり、イオンのサイクロトロン周波数(数千万ヘルツ程度)の電磁波をアンテナから入射し、共鳴機構によってイオン運動エネルギーを直接増大させる方法である。中性ビーム入射や電子サイクロトロン加熱と並ぶ補助加熱の柱であり、ITER では 40–55 MHz の周波数帯で 1 台あたり 5–20 MW を放射するよう設計されたアンテナが計画されている。波を共鳴層まで伝播させるには速波(fast wave)を用いる。速波は高密度プラズマ中に高密度カットオフなしで侵入できるため、密度の高いプラズマ中心部までエネルギーを届けられる点がこの方法の本質的な強みである。
原理と共鳴物理
イオンは磁場中でサイクロトロン運動を行い、その周波数は電荷と磁場強度で決まり、質量に反比例する。水素の同位体やヘリウムなどの不純物種はそれぞれ異なる共鳴周波数を持つため、入射波の周波数とトロイダル磁場の分布を組み合わせることで、共鳴層の位置をプラズマ断面内の任意の場所に置くことができる。共鳴層では、イオンのサイクロトロン運動と波の回転電場が位相をそろえて相互作用し、イオンはサイクロトロン位相を周期的に追い越されるたびにエネルギーを得る。この過程は衝突を介さずに直接イオンを加熱する点で特徴的であり、電子加熱を経由しないため、燃焼到達に必要な外部加熱電力を低減できると期待されている。
共鳴で加速されたイオンは熱化する前に高エネルギー尾部を形成する。この尾部イオンがクーロン衝突でエネルギーを渡す先は、そのエネルギーが臨界エネルギー(電子とイオンへの衝突的エネルギー分配が等しくなるエネルギー)より低いか高いかで決まる。臨界エネルギー以下の尾部イオンは主に背景イオンにエネルギーを渡すため、効率的なイオン加熱には、局所的な吸収電力密度を適度に抑え、吸収領域を広げて尾部イオンの平均エネルギーを臨界エネルギー近傍以下に保つことが望ましい。逆に尾部が高エネルギー化しすぎると電子への加熱割合が増えるだけでなく、高速イオン起因の不安定性を誘発して損失や壁材料損傷の原因となる。
推移
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研究の変遷
1970–198442本 · 1.71%
理論・波動伝搬とアンテナ設計の時代
この時代は、ICRF波の伝搬・吸収構造の運動論的記述やアンテナ結合特性の三次元解析、レイトレーシングモデルなど理論的検討が中心であった。イオンサイクロトロン共鳴やサイクロトロン共鳴、不純物との関連が初期から見られ、JETでの適用が扱われ始めた。
同時に語られた主題イオンサイクロトロン共鳴、不純物、サイクロトロン共鳴、中性粒子入射、イオン損失、燃料供給
この時代の論文から
- Kinetic description of propagation and absorption structures of ICRF wavesNuclear Fusion 1983
- A 3-D analysis of the coupling characteristics of ion cyclotron resonance heating antennaeNuclear Fusion 1982
- Variational theory of the ICRH antennaNuclear Fusion 1984
よく登場する装置
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている(Ion cyclotron heating、ICRF、ICRH など)。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文120本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、8本の論文(うち全文5本)と1枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない

