液体金属(Liquid metal)は、核融合・プラズマ物理学の材料。核融合炉のブランケットやダイバータにおいて、トリチウム増殖材・冷却材・プラズマ対向材として用いられる溶融金属材料である。リチウムやPb-17Li、スズなどが候補であり、強磁場下でのMHD圧力損失や自由表面不安定性の制御が実用化の鍵となる。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは182本ある。比重が最も大きかったのは2020–2024年で、その期間の論文の0.46%を占めた。直近の2025–2029年では0.40%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1985年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
液体金属とは、融点が比較的低い金属——リチウム、スズ、ガリウム、あるいはその合金——を溶融した状態で使う材料であり、核融合装置ではプラズマに直接さらされる部材(プラズマ対向材料)やブランケットの熱媒体・増殖材として注目されている。固体のタングステンなどと違い、液体は表面が溶融・流動することで損傷が可逆的であり、蒸発や流れによって入射した熱と粒子を絶えず運び去ることができる。この「自己修復性」が、液体金属という発想の核心である。
融合装置における液体金属の役割
核融合炉の成立を左右する最大の工学的課題の一つが、プラズマからの排熱処理である。炉心プラズマの外縁で断続的に放出されるエッジ局在モード(ELM)や、制御不能なディスラプション時には、固体のタングステン装甲に繰り返し巨大な熱応力がかかり、深い亀裂や溶融、冷却系の破損に至る。タングステン対向壁を炉規模で使うには、放射損失率がほぼ全放射に近い、ELMのない極めて特殊な運転シナリオに依存せざるを得ず、その成立には不確実性が大きい。
これに対し液体金属対向壁は、溶融層が犠牲的に蒸発・変形しても下地構造を保護し、表面が自己修復・自己補給されるため、過渡事象に対する耐性が本質的に高い。また、リチウムのように水素リサイクリングを低減する材料はプラズマ閉じ込め性能の向上をもたらすことが実験機で知られている。液体金属の利用は1970年代にすでに提案され、2000年前後のAPEX計画を経て、現在では国際的な研究プログラムに組み込まれている。
供給方式には大きく二つある。一つは毛細管多孔体(キャピラリ・ポーラス・システム、CPS)に液体金属を保持する静的方式で、多孔体の毛細力が液体を固定するため電磁力による飛散が抑えられ、ロシアの研究グループが1990年代に提案して以来、各国のトカマク実験で試験されてきた。もう一つはガイド溝や斜板上を電磁力や重力で流す動的方式で、熱・粒子除去性能に優れる一方、濡れ性の温度依存性や熱電磁流体駆動の制御が課題となる。液体金属をプラズマにさらす実験は、リチウムを用いた複数のトカマク、ガリウムを用いたトカマク、スズを用いたトカマクなどで行われてきた。
液体金属ターゲットの実際の姿を示すのが次の図である。円形のメッシュ状要素に液体スズを含浸させたCPSターゲットで、中央にラングミュアプローブ先端が埋め込まれている。

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研究の変遷
1985–199413本 · 0.24%
液体金属ブランケットとMHD流動の初期検討
この時代の液体金属研究は、液体金属ブランケットの安全性評価とMHD圧力損失の解析が中心であった。MagnetohydrodynamicsやMHD flowと並び、複数ダクト内流れや薄壁管内流れの理論解析、実験ループによる両立性研究が行われた。Reversed field pinchやInertial confinement fusionもわずかに登場するが、主眼は核融合ブランケット応用にある。
同時に語られた主題電磁流体力学、MHD流、逆磁場ピンチ、慣性核融合、増殖ブランケット
この時代の論文から
- Analysis of liquid metal MHD flow in multiple adjacent ducts using an iterative method to solve the core flow equationsFusion Engineering and Design 1990
- Studies with respect to the estimation of liquid metal blanket safetyFusion Engineering and Design 1991
- Trends in liquid metal breeder blanket development
よく登場する装置
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文67本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、4本の論文(うち全文3本)と3枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない


