SST-1(sst- tokamak)は、核融合・プラズマ物理学の装置。定常超伝導トカマクであり、プラズマの定常状態における物理と、超伝導磁石・プラズマ対向機器・高周波加熱・電流駆動などの定常運転技術の実証を目的とする。2013年に初プラズマが得られ、現在は1000秒級の長パルス運転を目指して開発が進められている。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは84本ある。比重が最も大きかったのは2015–2019年で、その期間の論文の0.33%を占めた。直近の2025–2029年では0.02%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1995年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
SST-1(Steady State Superconducting Tokamak、定常状態超伝導トカマク)は、インドのプラズマ研究所(IPR)が建設した中型トカマクである。その目的は、トカマクプラズマの物理を定常状態に近い条件下で研究するとともに、定常運転に関わる超伝導磁石・長パルス加熱などの技術基盤を獲得することにある。超伝導トロイダル場磁石とポロイダル場磁石の双方を備え、長時間パルスのプラズマ放電を目標に設計された、現代的な定常運転型装置のひとつである。
概要と目的
トカマクの炉心プラズマを長時間維持するには、プラズマ電流を生む誘導電場に頼らない電流駆動と、超伝導磁石による持続的な閉じ込め磁場が不可欠である。SST-1はこの「定常状態」の物理と技術を中型装置で検証するために構想された。大アスペクト比のトカマクであり、有意な伸長比(κ)と三角形状比(δ)を持つダブルヌルダイバータ配置のプラズマを運転できるよう設計されている。目標とする放電長は最大1000秒程度で、この間プラズマを高周波加熱と中性粒子ビーム入射で維持し、非誘導電流駆動で電流を支える計画である。
装置設計と超伝導磁石系
SST-1の最大の特徴は、トロイダル場コイルとポロイダル場コイルの双方に超伝導磁石を採用した点にある。導体にはNbTi系のケーブル・イン・コンジット導体(CICC)が用いられ、強制流の超臨界ヘリウムによって磁石を4.5 Kまで冷却する。CICCは導体束を冷却用の導管に収めた構造で、大型超伝導磁石の標準的な方式であり、SST-1ではモデルコイルによる通電試験でその適合性が検証された後に実機磁石の製作が進められた。
超伝導磁石の運転には、液体ヘリウム温度で動作する電流リード線、超伝導バスバー、液体ヘリウム輸送ラインといった周辺機器が不可欠であり、いずれも実規模試作機が製作・試験された。冷却には1 kW級の液化・冷凍システムが用いられ、液体窒素で冷却した放射シールドを真空容器と磁石の間、および磁石とクライオスタットの間に設けて磁石への放射熱負荷を低減している。磁石系の保護のため、クエンチ(超伝導状態の喪失)を検出する計測系や磁石状態監視系も整備されている。ポロイダル場コイルの巻線パックには橋継手(ジョイント)が用いられ、その製作法と電気的特性の検証も行われた。これらの工学検証段階では、クライオスタットの気密性、80 K熱シールドの均一冷却、磁石の定格冷却条件での1.5 T(大半径位置での磁場)までの通電などが確認されている。
補助加熱・電流駆動システム
定常運転に必要な加熱と電流駆動のため、SST-1は複数の高周波システムと中性粒子ビーム入射(NBI)を備える。イオンサイクロトロン周波数(ICRF)帯と電子サイクロトロン周波数(ECRF)帯のシステムは主に加熱と予備電離・ブレークダウンに用いられ、低域混成波による電流駆動(LHCD)は非誘導電流駆動を担う。ICRF系は1.5 Tと3.0 Tの運転磁場に対応するため20–92 MHzの広い周波数帯域を必要とし、連続波1.5 MW級の発信機が開発された。ECRF系では82.6 GHzのジャイロトロンが長パルス運転の試験を受け、伝送線から出るビームのガウス性が確認されている。長パルス運転に対応するため、これらの高周波システムは能動冷却を備える。LHCD系には3.7 GHz帯の連続波用サーキュレータや固体駆動源などが整備され、高速波電流駆動用のインターディジタル型進行波アンテナも開発された。NBIはピーク出力0.8 MW、ビームエネルギー10–80 keVの可変仕様で、長パルス特性が評価された。
プラズマ対向壁と真空容器
真空容器は全溶接構造の超高真空容器で、ポートを持つ16の扇形セクターと16のリングから構成される。製作手法の確立のため実規模試作機が製作・試験され、その結果に基づいて実機が製作された。真空容器は超伝導磁石の急速な磁場変化に応じて渦電流を生じるため、その電磁気学的特性も設計・評価の対象となった。プラズマ対向部品(PFC)には黒鉛製の第一壁が用いられ、冷却方式の設計改良が行われた。長パルス運転では中性粒子の制御が閉じ込め性能を左右するため、中性粒子輸送を抑えるためのバッフルに関する研究も行われている。黒鉛第一壁からのダスト発生の挙動も、長パルス運転の観点から調べられている。
運転と初期実験
各サブシステムの工学検証を経て装置は据え付け・総合試験に入り、2013年6月、82.6 GHzの電子サイクロトロン第二高調波による予備電離の支援を受けてプラズマのブレークダウンに成功し、SST-1は「初プラズマ」を達成した。その後、電場約0.4 V/mでの再現性あるプラズマ起動と、1.5 Tの磁場下で電子サイクロトロン加熱による予備電離を併用した400 ms・70 kAを超えるプラズマ電流が得られている。超伝導トロイダル場磁石については、二相冷却方式による安定な高磁場運転、液体ヘリウムの代わりに冷ガスを用いた蒸気冷却電流リード線の運転、高通電流での継手抵抗の一桁低減などが実証されており、これらは定常運転技術として重要な成果である。装置はその後も第一壁の統合、超伝導中心ソレノイドの設置、MgBr2系(マグネシウム・ボライド/真鍮)電流リード線への更新などの改良が続けられ、円形および楕円断面の長パルス放電実験が計画された。
運転を支える制御・計測系も整備されている。プラズマパラメータ制御のための電源フィードバック制御、装置全体の時刻同期システム、遠隔参加を可能にする制御系、プラズマ位置制御のシミュレーションに基づく訓練などがその例である。診断系としては、電子温度分布測定のためのトムソン散乱(干渉フィルタ多色器、感度向上の検討)と電子サイクロトロン放射(ECE)用スーパーヘテロダイン放射計、プラズマ断面のトモグラフィー(ピクセル法)、SOLPS5を用いたスクレイプオフ層の二次元輸送モデリングなどが整備・適用され、長パルス放電の閉じ込め・輸送研究と大型アスペクト比放電特有の磁気流体力学活動の研究が進められている。
この解説が根拠にした論文から
- Present status of the SST-1 projectNuclear Fusion 2000
- The first experiments in SST-1Nuclear Fusion 2015
- Cyclotron resonance heating systems for SST-1Nuclear Fusion 2006
- Test results on systems developed for the SST-1 tokamakNuclear Fusion 2003
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研究の変遷
1995–200411本 · 0.11%
設計・要素開発期
SST-1の設計と主要サブシステムの技術開発に関する論文が中心である。プラズマ対向機器、磁気診断、電子サイクロトロン放射計測、データ収集系など個別システムの設計・試験結果が報告されている。特に「Present status of the SST-1 project」や「Test results on systems developed for the SST-1 tokamak」によってプロジェクト全体の進捗が示されている。
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている(SST-1、sst- tokamak など)。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文14本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、4本の論文(うち全文0本)と0枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない
