EVEDAは、核融合・プラズマ物理学の工学。核融合材料照射施設IFMIFの実現に向けた工学検証・工学設計活動であり、欧州と日本のブローダー・アプローチ協定に基づき進められている。液体リチウム標的や重陽子加速器などの主要機器を実規模で試作・検証し、材料照射用中性子源の設計を完成させることを目的とする。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは45本ある。比重が最も大きかったのは2010–2014年で、その期間の論文の0.29%を占めた。直近の2025–2029年では0.02%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは2005年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
Engineering Validation and Engineering Design Activities (ITER-related)
解説
EVEDA(Engineering Validation and Engineering Design Activities、工学検証・工学設計活動)は、国際核融合材料照射施設IFMIFの実現に向けて、2007年から2013年頃にかけて日欧の協定「広域アプローチ(Broader Approach)」の枠組みで実施された工学検証と設計の段階である。IFMIFは、重水素ビームを液体リチウムの流れに衝突させて核融合炉壁と同等のスペクトルを持つ中性子を大量に発生させ、将来の核融合炉の構造材料の照射試験を行うことを目的とした加速器駆動の中性子源であり、EVEDAはその各主要サブシステムを実際に製作・試験して設計の成熟度を証明することを任務とした。

fig.03 Overview of the IFMIF/EVEDA project (2017) · CC BY 4.0
Artistic bird’s-eye view of the IFMIF’s main building.
図はIFMIF本体施設の鳥瞰図である。加速器棟(インジェクタ、RFQ、超伝導リニアック、ビームダンプ)、リチウムループを備えた試験セル、照射後試験施設、放射化物のトリチエーション工程などが一つの建屋に収められた全体構成を読み取ることができる。
核融合材料照射中性子源の必要性
核融合炉の材料開発には、既存の照射源では得られない中性子環境が要求される。重水素・トリチウム融合反応で生じる14.1 MeVの中性子は、平均エネルギー2 MeV以下の核分裂中性子よりはるかに硬いスペクトルを持ち、材料中で水素やヘリウムを多量に生成する。特にヘリウム生成率は約12 appm/dpaに達し、核分裂炉の0.3 appm/dpaと比べて桁違いに高い。ヘリウムは格子中に蓄積して粒界脆化を引き起こすため、低濃度でも機械特性に重大な影響を与える。損傷量自体も、ITERの運転末期に累積3 dpa程度であるのに対し、DEMOや発電炉では年間15 dpaを超えると予測されており、核分裂炉では再現できない照射環境となっている。
核分裂炉であれば世界中に実験炉が存在するが、核融合に適した中性子束とスペクトルを備えた施設はこれまで存在せず、この欠落を埋めることがIFMIF構想の出発点である。スパレーション中性子源はスペクトルが高エネルギー側に長い裾を持ち、ヘリウム生成率が約70 appm/dpaと過大であるうえ、照射温度の安定性・均一性の制御も難しい。材料の許容設計は核融合炉の安全審査の前提条件でもあるため、核融合ロードマップ上、核融合に関連する中性子源の建設・運転は不可欠の段階と位置づけられている。
EVEDA段階と広域アプローチ
IFMIFは構想段階から設計検討を重ねてきたが、2007年6月の日欧協定発効によりEVEDA段階が始まった。この段階は二つの柱からなる。一つは工学設計活動(EDA)で、2013年夏に予定通りIFMIFプラントの工学設計報告書を取りまとめた。この設計では、超伝導加速器の採用によるビーム損失と運転コストの低減、クエンチタンクの試験セル外への移設によるトリチウムインベントリの削減、照射モジュールと遮蔽ブロックの分離による照射柔軟性の向上、試験セルのライナ水冷や生物学的遮蔽の簡素化など、従来設計からの多くの改良が盛り込まれた。もう一つの柱が工学検証活動(EVA)で、加速器プロトタイプ、リチウムターゲットループ、試験モジュールの各主要要素を実際に製作・試験して設計の妥当性を検証した。以下に述べる各検証活動はこのEVAに属する。
加速器システムとLIPAc
IFMIFでは、40 MeVの重水素ビームを2本、連続波で液体リチウムターゲットに注入する。加速器の検証は、フルサイズの1本分に相当する線形加速器のプロトタイプLIPAc(Linear IFMIF Prototype Accelerator)によって行われ、日本の青森県六ヶ所村に建設された。図は加速器系の三次元配置である。

fig.05 Overview of the IFMIF/EVEDA project (2017) · CC BY 4.0
Three-dimensional (3D) layout of IFMIF accelerators.
図に見えるように、イオン源とRFQ(高周波四重極加速器)で始まる低エネルギー伝送部(MEBT)、超伝導リニアック(SRF Linac)、高エネルギービーム伝送部(HEBT)、そしてビームダンプが一直線に並び、その先端が試験セル内のリチウムターゲットに接続される。IFMIF本体ではこの系を2基並置する。
LIPAcのビームコミッショニングでは、インジェクタ部での中性子生成と線量率の評価、RFQ周辺の放射線安全検討、加速器建屋内のガンマ線・中性子領域監視系の設計などが行われた。連続波・高電流の重水素ビームではわずかなビーム損失も活性化の原因となるため、損失の最小化は設計上の最重要課題であり、超伝導加速器の採用はこの観点からの改良でもあった。ビームダンプも、全ビーム出力を安全に受け止める熱設計が別途検証されている。
リチウムターゲット施設とELTL検証
IFMIFの中性子は、15 m/sで流れる液体リチウムの自由噴流に重水素ビームを衝突させることで発生する。この薄く高速なリチウム流の水力学的安定性が、施設全体の成立を左右する鍵となる。この検証のために、日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センターにEVEDAリチウム試験ループ(ELTL)が建設された。5.0 m3のリチウムを保有する、核融合研究史上最大の液体金属ループであり、2010年11月に建設が完了した。ELTLは最大20 m/sまでの流速で、10^-3 Paの真空条件下におけるターゲット流の安定性を検証することを目的とした。
ターゲットアセンブリには、収縮ノズルと凹型流路でリチウム噴流を形成する一体型と、ベイネット型の二つの概念が検討され、ELTLでは一体型が採用された。5軸加工機による精密加工と三次元測定で製作精度が確認され、熱流体力学的性能は起動過渡シナリオ下での熱構造解析でも評価された。図はターゲット施設の配置を示す。

fig.06 Overview of the IFMIF/EVEDA project (2017) · CC BY 4.0
Layout of the target facility.
図にはターゲットアセンブリを中心に、一次・二次・三次熱交換器からなる油冷却系、リチウムダンプタンク、クエンチタンク、不純物制御系が描かれており、ビーム加熱されたリチウムの熱を多段の熱交換を経て水側へ逃がす系統構成が分かる。リチウム中の不純物(窒素、酸素、水素など)は腐食と流路閉塞を招くため、コールドトラップによる精製ループの設計も行われた。
ELTLを用いて、リチウム流の波動と長期安定性の試験、全系連続運転でのターゲット安定性の実証、起動手順の確立、リチウム精製・分析技術の検証が実施された。噴流厚みの変動は接触式液面センサやレーザー距離計で計測する技術が開発された。リチウムの安全性については、取扱い技術の開発とループの安全概念の整備が進められた。また、ENEAのLifus 6施設での実験により、フェライト・マルテンサイト鋼に対するリチウム腐食が許容できる低さであることが確認された。試験セル環境でのターゲット遠隔保守についても、複雑な遠隔操作手順が実際に演習され、成立性が示された。
試験施設設計と照射モジュール検証
材料試験の本体は、ターゲット直後に置かれる試験セル内の照射モジュールで行われる。高フラックス試験モジュール(HFTM)は、リチウムターゲットで発生した中性子流中に小型材料試験片を多数配置し、所定の照射温度に保つ装置である。図はHFTMの設計概要を示す。

fig.10 Overview of the IFMIF/EVEDA project (2017) · CC BY 4.0
Design overview of the IFMIF HFTM showing assembly, compartments, irradiation rigs and capsules filled with arranged small specimens.
図には、ビーム照射領域に面したアタッチメントと容器、内部のコンパートメント、各コンパートメントに3本ずつ収められる照射リグ、そしてリグ内に整然と配列された小型試験片のカプセル、上下の反射体が描かれている。照射体積を最大限に活かすため、試験片は極小サイズとするスモールスペックテスト技法が用いられ、試験片形状や試験手法が結果に与える影響の評価を通じてこの技法が高度化された。
HFTMについては二つのバリアントが試作され、ヘリウムループ試験により、試験片を所定温度に低い温度分布幅で維持できることが実証された。また、加熱試験片カプセルと照射計測機器について、SCK-CENのBR2原子炉で照射試験が行われ、実照射環境下での性能が確認された。照射済み試験片の取り扱いや照射後試験(PIE)施設の設計指針、参照試験セルと主要機器の工学設計もこの段階で整備された。
以上の検証活動により、加速器、リチウムターゲット、試験施設の各主要要素について工学上の成立性が実証され、IFMIF建設の意思決定と次段階計画の基礎が提供された。
この解説が根拠にした論文から
- Overview of the IFMIF/EVEDA projectNuclear Fusion 2017
- The accomplishment of the Engineering Design Activities of IFMIF/EVEDA: The European–Japanese project towards a Li(d,xn) fusion relevant neutron sourceNuclear Fusion 2015
- IFMIF/EVEDA lithium test loop: design and fabrication technology of target assembly as a key componentNuclear Fusion 2011
- The accomplishments of lithium target and test facility validation activities in the IFMIF/EVEDA phaseNuclear Fusion 2018
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推移
研究の変遷
2005–201431本 · 0.20%
工学設計活動としてのIFMIF/EVEDAの始動
この時期の論文は、IFMIF/EVEDAプロジェクトの工学設計活動を中心としており、液体リチウムターゲットの設計・製作、ならびに中性子源としての核データ解析を扱っている。リチウムや液体リチウム、リチウムターゲットといった語と共に出現し、特に2011年のリチウムテストループ設計や2009年の液体リチウムターゲットの工学設計状況が代表的である。
同時に語られた主題リチウム、リチウム標的、液体リチウム、トリチウム放出、トリチウム、遠隔操作
この時代の論文から
- IFMIF/EVEDA lithium test loop: design and fabrication technology of target assembly as a key componentNuclear Fusion 2011
- Recent EU activities for IFMIF EVEDA in the framework of the broader approachFusion Engineering and Design 2007
- Status of engineering design of liquid lithium target in IFMIF-EVEDAFusion Engineering and Design 2009
- Main baseline of IFMIF/EVEDA projectFusion Engineering and Design 2009
2015–202614本 · 0.06%
工学設計の完了と検証活動への移行
この時期の論文は、IFMIF/EVEDAの工学設計活動の完了と、リチウムターゲットおよび試験施設の検証活動の達成を報告している。中性子源、リチウムターゲット、リチウム、融合中性子、線量率といった語と共に現れ、2018年のリチウムターゲットと試験施設検証の成果や、2016年のLIPAc入射器ビームコミッショニングにおける中性子生成と線量率の検討が代表例である。
同時に語られた主題中性子源、リチウム標的、リチウム、核融合中性子、線量率
この時代の論文から
- Overview of the IFMIF/EVEDA projectNuclear Fusion 2017
- The accomplishment of the Engineering Design Activities of IFMIF/EVEDA: The European–Japanese project towards a Li(d,xn) fusion relevant neutron sourceNuclear Fusion 2015
- The accomplishments of lithium target and test facility validation activities in the IFMIF/EVEDA phaseNuclear Fusion 2018
- Neutron production and dose rate in the IFMIF/EVEDA LIPAc injector beam commissioningFusion Engineering and Design 2016
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文5本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、4本の論文(うち全文1本)と4枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない
