テアリングモード(Tearing mode、tearing、tearing modes)は、核融合・プラズマ物理学の現象。有理面で磁気リコネクションにより磁気島を形成する抵抗性MHD不安定性で、電流密度勾配によって駆動される。トカマクでは閉じ込め劣化やディスラプションの要因。新古典テアリングモードはブートストラップ電流の摂動で駆動され、高ベータ運転を制限する。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは518本ある。比重が最も大きいのは直近の2025–2029年で、その期間に発表された論文の1.17%を占める。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1975年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
テアリングモード(tearing mode)とは、磁力線の再結合(マグネティック・リコネクション)によって、トカマクなど環状磁気閉込めプラズマ中の有理面に螺旋状の「磁気アイランド(磁島)」が生成・成長する磁気流体力学(MHD)不安定性である。名前は、平衡時には一様だった磁気面が「引き裂かれて」新しいトポロジーを作ることに由来する。磁島ができると熱と粒子が磁力線に沿って島の内外を行き来するようになり、閉込めが局所的に失われる。さらに島が成長してプラズマ回転と同期して停止すると大破壊(ディスラプション)に至ることもあり、テアリングモードの物理の理解と制御は、ITER 以降の炉規模装置にとって死活的な課題となっている。
磁気アイランドとテアリング不安定性
トカマクの磁場はトロイダル(環方向)成分とポロイダル(極方向)成分の組み合わせでできており、磁力線は安全因子 q で特徴づけられる螺旋を描く。q が有理数 m/n となる磁気面では、摂動磁場が平衡磁場と共鳴でき、そこで磁気面の再結合が起こりやすい。テアリングモードは、ポロイダル・トロイダル方向にそれぞれ m 個・n 個の周期をもつ螺旋構造で現れ、代表的なものとして m/n = 2/1 や 3/2 モードが知られる。
再結合の駆動力は、電流密度分布の中に蓄えられた自由エネルギーである。有理面を挟んで平行電流分布が「折り畳まれた」形状(電流勾配が不連続に近い形状)を持つとき、摂動による磁気エネルギーを下げる方向に再結合が進む。この安定性の尺度がテアリング安定性パラメータ Δ′ で、Δ′ > 0 なら線形に不安定となる。ただし実際のトカマクでは、抵抗のために磁力線が凍結される理想 MHD 的性質が有理面のごく薄い層で破れるという構造をとり、成長は抵抗拡散時間スケールの遅いものになる。この「理想領域+抵抗層」の漸近接合(層構造理論)がテアリングモード線形理論の骨格である。
磁島が形成されると、磁力線に沿った熱伝導が島の幅にわたって急激に強まり、島の内部で電子温度・圧力分布が平坦化される。これがテアリングモードのあらゆる帰結――閉込め劣化、次に述べる新古典的駆動、そして検出の物理――の出発点になる。実際のトカマク平衡はシャフラノフ・シフトや断面の楕円性・三角性をもつため、単一のモード数では記述できず、複数のポロイダル高調波が結合した島列となる。また島は有理面に対して半径方向に非対称に広がる。次の図は、そのような非対称磁島の周りの規格化電子温度分布の等高線を示したもので、太い実線が磁気分離面、点線が有理面、黒点が島の O 点(磁場再結合の中心)である。分離面の内側で温度が平坦化され、外側では平衡温度勾配が保たれている様子が分かる。

推移
他の項目を重ねる
研究の変遷
1970–198418本 · 0.73%
初期の理論的・配位研究
この時代の論文は、テアリングモードの非線形成長や拡散ピンチ配位の安定性といった理論的解析が中心である。プラズマ崩壊や逆転磁場ピンチ、電流駆動といった関連現象と共に議論されており、実験装置名はまだ登場しない。
同時に語られた主題プラズマディスラプション、逆磁場ピンチ、電流駆動、鋸歯状振動、低域混成波電流駆動、低域混成波
この時代の論文から
- Non-linear growth of the m = 1 tearing modeNuclear Fusion 1976
- Tearing-mode-stable diffuse-pinch configurationsNuclear Fusion 1978
- Tearing-mode activity for hollow current profilesNuclear Fusion 1979
よく登場する装置
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている(Tearing mode、tearing、tearing modes など)。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文120本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、6本の論文(うち全文5本)と1枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない
