K-DEMOは、核融合・プラズマ物理学の装置。韓国が設計中の核融合実証炉で、定常運転を目指すトカマク型装置である。主半径6.8m、副半径2.1mの超伝導トカマクで、中心磁場7T以上、二重ヌルダイバータを採用する。中性粒子入射や高周波加熱による電流駆動を行い、将来の商業炉へ向けた実証を目的とする。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは27本ある。比重が最も大きかったのは2015–2019年で、その期間の論文の0.15%を占めた。直近の2025–2029年では0.06%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは2015年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
K-DEMO(韓国融合デモンストレーション炉、Korean fusion DEMOnstration reactor)は、韓国が概念設計を進めている核融合発電の実証を目的としたトカマク型炉である。ITER の建設に並行して、商用炉へつながる電気出力の実証とトリチウム自給サイクルの成立を早期に示すことを狙い、2007 年に制定された韓国の核融合エネルギー開発促進法に基づく国家計画の中で、2012 年から概念設計研究が始まった。設計の中心にあるのは、磁場を高くとることで炉をコンパクトに保ちつつ高い融合出力を得るという方針であり、プラズマ中心のトロイダル磁場を 7 T 以上、コイル導体の峰值磁場を約 16 T とする、当時の磁気核融合炉として最も高い水準の磁場設計を採っている。

fig.ig01 Design concept of K-DEMO for near-term implementation (2015) · CC BY 4.0
K-DEMO device core design features.
図は K-DEMO 装置の断面全体を示したもので、垂直保守用のアクセス開口、ダブルヌル・ダイバータ、拡大されたトロイダル場コイルと真空容器間の空間、機体支持構造など、装置の中核的な設計特徴が注記されている。以下、この装置の設計概念と、磁場・ブランケット・ダイバータ・定常運転の各系について概説する。
概念と二段階開発計画
K-DEMO の最大の特徴は、開発を二段階で進める計画にある。第一段階では、正味の発電とトリチウム自給の実証に加え、炉を部材試験施設としても運用する。第二段階では、炉内機器を大規模に交換するアップグレードを行い、約 500 MWe の正味電気出力を示すことを目標とする。この計画を支えるため、0 次元システム解析に基づいて主要半径 6.8 m、副半径 2.1 m という装置寸法が選定された。これは、工学的実現性を考慮しつつ、高磁場設計によって小型化と高出力を両立させた値である。
プラズマ形状は、ダブルヌル(DN)ダイバータを採用し、伸長比と三角形状を強くつけた強いシェーピングを用いる。X 点を真空容器の内側、プラズマに近い位置に置くこの構成は、単極(SN)設計に比べてプラズマ性能と垂直位置制御を改善し、装置を小型化できる利点がある。一方、高い稼働率を確保するには、炉内機器の大形セグメントを交換できる大きな開口が必要であり、これが装置全体の配置を強く制約する。組立・保守は垂直方式とされ、ブランケットを大形モジュールとして垂直に引き抜くため、TF コイル外側半径を大きくとり、ブランケットと真空容器外壁の間に約 2.5 m の半径方向空間が確保されている。この点は、TF コイルが真空容器に密着した欧州の縦分割・多モジュール方式とは対照的な構成である。
炉内機器は、ブランケットが内側 16・外側 32 のトロイダルセクタに分割され、ダイバータも上下それぞれ 32 モジュールに分けられる。この分割は、保守用ロボットによる遠隔交換の単位と直接対応させて決められている。
磁場システム
K-DEMO の磁場システムは、TF(トロイダル場)コイル、PF(極向場)コイル、中央ソレノイド(CS)から構成される。峰值磁場約 16 T を実現するため、高性能な Nb3Sn 系超伝導導体が採用されている。高磁場設計の利点は、より高いプラズマ電流と密度での運転を可能にし、建設コストをほぼ変えずに融合出力を高められる点にある。
TF コイルの設計は保守要件から強く制約され、磁気リップルを抑える大形コイルと、大形炉内機器モジュールの引き抜きを可能にする広間隔の PF コイル配置が求められる。また、建設費と構造材の省スペースのため、TF コイルの巻線パックは性能の異なる 2 種類の導体を使い分け、TF ケースに収める構成が採られている。CS コイルについても、定常運転に必要な電流駆動とプラズマ制御を担うため、熱・電磁設計の更新が継続的に行われている。

fig.ig04 Design concept of K-DEMO for near-term implementation (2015) · CC BY 4.0
Overall magnet system configuration.
図は磁場システム全体の配置を示したもので、CS コイル、PF1 から PF6 までの極向場コイル、TF コイルの断面寸法、およびコイル導体の詳細が描かれている。PF コイルが TF コイルから十分な間隔を保って配置されている様子が分かる。
増殖ブランケットとトリチウムサイクル
ブランケットは、D-T 融合で生じる 14.1 MeV 中性子のエネルギーを回収して発電に回すと同時に、6Li(n,α)T 反応によりトリチウムを増殖する、炉の心臓部である。冷却材の選定では、ヘリウムは熱容量が小さくポンプ動力が大きいこと、過臨界水は深刻な腐食問題を抱えることが検討され、既存の発電プラント技術がそのまま使える加圧水が主冷却材として最有力とされた。水冷却セラミック増殖ブランケット(WCCB)構成で、全体トリチウム増殖比(TBR)を 1 以上にできることが解析により示されている。増殖材にはセラミック増殖材が用いられ、熱水力解析には MARS-KS などの系統コードが用いられて冷却流路設計の最適化が進められている。中性子工学の面では、MCNP や ATTILA による輸送計算、FISPACT-II による放射化計算を用いて、DPA(原子あたり変位量)やヘリウム生成率といった構造材損傷指標が評価されている。

fig.ig11 Design concept of K-DEMO for near-term implementation (2015) · CC BY 4.0
Blanket toroidal segmentation −22.5° toroidal blanket inboard and outboard sectors.
図はブランケットのトロイダル分割を示したもので、内側ブランケット、外側ブランケットの TF コイルセクタ(16 分割)とポートセクタ(16 分割)、半永久内部構造、ダイバータ・モジュールの位置関係が描かれている。ブランケットのセクタ分割が TF コイル配置と整合するように決められていることが分かる。

fig.ig12 Design concept of K-DEMO for near-term implementation (2015) · CC BY 4.0
A concept view of an indicative blanket module.
図は個々のブランケット・モジュールの概念図である。RAFM 鋼の構造と冷却材、増殖材・増倍材の混合充填層、冷却材分配板、表裏の冷却材出入口、パージガスの出入口など、モジュール内部の流路構成が注記されている。
ダイバータ
ダイバータは、プラズマから排出される熱と粒子を受け止める炉内機器であり、K-DEMO ではダブルヌル構成に合わせて上下それぞれ 32 モジュールに分割される。高熱流束ユニットの熱水力最適化が進められており、プラズマ対向面に集中する熱負荷を冷却構造で如何に受け止めるかが設計の焦点である。また、主要なプラズマ擾乱(major disruption)時には、渦電流とハロー電流による大きな電磁力がダイバータ構造に作用するため、MD(major disruption)や VDE(垂直位置喪失事象)といった擾乱シナリオに対する電磁負荷の評価が繰り返し行われている。さらに、ダイバータは中性子照射環境下で最も厳しい条件に置かれる部材の一つであり、構造損傷と核発熱の核解析が強化されたモデルで実施されている。

fig.ig14 Design concept of K-DEMO for near-term implementation (2015) · CC BY 4.0
A concept view of a divertor module.
図はダイバータ・モジュールの概念図である。内側ターゲットと外側ターゲット、中央部、冷却水の出入口配管の配置が示されており、プラズマ対向面を二つのターゲットで挟む構造が分かる。
定常プラズマ運転と加熱・電流駆動
K-DEMO は定常運転を前提としており、プラズマ電流を外部電流駆動だけで維持する必要がある。このため、平衡・安定性・閉じ込め・加熱電流駆動(H/CD)を自己無撞着に統合した数値モデリング(FASTRAN/IPS)を用い、融合利得を最大化するようにプラズマ圧力・電流密度プロファイルと加熱配置を決定する系統的アルゴリズムが開発されている。この解析では、ペデスタル構造をもつ目標圧力プロファイルを設定し、グラード・シャフラノフ(Grad–Shafranov)方程式を解いて平衡を求め、線形 MHD 安定性を確認した上で、電力平衡と電流駆動の整合を満たす加熱分布を導く、という手順が踏まれる。自己無撞着な定常シナリオとして、トロイダル磁場 7.4 T、プラズマ電流 15.5 MA の下で融合出力 2070 MW、融合利得 Q ≈ 19.7、正規化ベータ βN = 2.8 という運転点が提案されており、密度・温度限界の拡張を仮定すれば 3000 MW 級の運転も探索されている。
電流プロファイル制御と軸外電流駆動には、高周波(200 GHz 超)の電子サイクロトロン電流駆動(ECCD)が主要候補とされている。高磁場設計では共鳴周波数が高くなるため、トップローンチの高周波 ECCD は波の偏向を最小化して効率を高める点で好適であり、高磁場との整合が良い。ECCD 以外の加熱・電流駆動手段についても、K-DEMO 向けの網羅的調査が行われている。
なお、K-DEMO の設計では、これらの物理・工学要件に加え、韓国の放射性廃棄物規制に基づく廃棄物分類(20 フルパワー年照射を想定した評価)や、プロジェクトの成熟度評価、産業エコシステムの構築といった、炉そのもの以外の課題も並行して検討されている。
この解説が根拠にした論文から
- Design concept of K-DEMO for near-term implementationNuclear Fusion 2015
- Development of a systematic, self-consistent algorithm for the K-DEMO steady-state operation scenarioNuclear Fusion 2017
- The investigation of the neutronic responses of components in the K-DEMONuclear Fusion 2023
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推移
研究の変遷
2015–202627本 · 0.11%
この時代の記述はまだ書かれていない
同時に語られた主題増殖ブランケット、定常状態、プラズマディスラプション、磁石システム、セラミック増殖材、水冷却セラミック増殖材
この時代の論文から
- Design concept of K-DEMO for near-term implementationNuclear Fusion 2015
- Overview of KSTAR research progress and future plans toward ITER and K-DEMONuclear Fusion 2019
- Development of a systematic, self-consistent algorithm for the K-DEMO steady-state operation scenarioNuclear Fusion 2017
- Survey of heating and current drive for K-DEMONuclear Fusion 2018
よく登場する装置
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文7本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、3本の論文(うち全文2本)と5枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない
