中性子照射(Neutron irradiation)は、核融合・プラズマ物理学の現象。炉内材料が高エネルギー中性子に曝されると、はじき出し損傷による欠陥生成や核変換反応が生じ、ヘリウムなどの生成ガスによる膨張・脆化、硬化、熱伝導度低下を引き起こす。核融合炉の構造材料や増殖ブランケットの健全性を左右する主要な劣化過程である。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは92本ある。比重が最も大きかったのは2020–2024年で、その期間の論文の0.22%を占めた。直近の2025–2029年では0.16%。
解説
中性子照射とは、核分裂炉や核融合炉の環境に存在する高エネルギー中性子を材料に当てることであり、その結果として材料内部に生じる原子レベルの損傷、核変換、そしてそれに起因する物性変化の総体を指す。核融合炉では重水素-三重水素(D-T)反応に伴って約14 MeVの中性子が大量に放出されるため、炉内の構造材料、プラスマ対向材料、超伝導磁石、計測器のすべてがこの照射にさらされ、それが部材寿命を律する主要因の一つとなる。核融合研究において中性子照射は、材料開発・評価の中心的な試験条件であり、同時にトリチウム増殖のような炉心核特性の検証手段でもある。
核融合環境における中性子照射
D-T核融合反応はアルファ粒子(ヘリウム核)と14.1 MeVの中性子をほぼ等分のエネルギーで生む。荷電粒子は磁場に閉じ込められる一方、中性子は電荷を持たないため磁場の影響を受けず、そのまま第一壁・ブランケット・遮蔽体に飛び込む。このため核融合炉のエネルギーの大部分(約8割)は中性子の運動エネルギーとして炉構造に持ち込まれ、そこで熱に変換されると同時に、材料に深い損傷を与える。核分裂炉の中性子が平均2 MeV程度であるのに対し、核融合中性子は約14 MeVと一桁近く高く、核変換(後述)の寄与が格段に大きい点が核融合材料研究を特徴づけている。
炉内での中性子負荷は場所によって大きく異なる。ダイバータ近傍の炉内構造では数年間の運転で10²⁰ cm⁻²オーダーの高速中性子フルエンスに達するのに対し、炉外の計測器ではフルエンスが数桁低くなる。この空間的な勾配は、中性子輸送計算によって各部材の暴露条件として定量化され、材料試験の目標フルエンスや損傷量(dpa、後述)の設定に使われる。計測器のような機器では、半導体素子がイオン化線量と中性子フルエンスに対して脆弱であるため、金属感応層を持つホールセンサなど耐放射線性の高い素子の開発と、実フルエンスでの照射試験による検証が進められている。
変位損傷と欠陥生成
中性子が材料中の原子核と弾性衝突すると、格子内の原子が弾き出され、いわゆる一次はね原子(PKA、primary knock-on atom)が生じる。このPKAが持つ運動エネルギーは数keVから数十keVに及び、その原子が格子内を飛びながらさらに他の原子を次々にはね出す「カスケード」と呼ばれる連鎖衝突を引き起こす。カスケードの終息後には空孔と格子間原子の対(フレンケル対)が大量に残り、これらが拡散・合体して転位ループ、ボイド、クラスターなどの欠陥組織を形成する。材料が受ける損傷量は、各原子が弾き出された回数の平均としてdpa(displacements per atom、原子当たり変位回数)で表され、核融合炉の構造材では数十dpaに達する設計寿命が想定される。
推移
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研究の変遷
1970–19841本 · 0.04%
トリチウム関連の先駆的照射研究
中性子照射とトリチウムの関係を扱う単独の論文が見られる。代替燃料サイクルにおける照射効果とトリチウムインベントリを検討しており、この時代は対象が極めて限定的である。
同時に語られた主題トリチウム
この時代の論文から
1985–19942本 · 0.04%
リチウム材料のトリチウム回収への照射効果
14MeV中性子照射が溶融リチウム鉛合金やリチウム酸化物からのトリチウム回収に及ぼす影響を調べている。トリチウム、リチウム、トリチウム回収といった語と共に現れる。
よく登場する装置
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文22本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、4本の論文(うち全文3本)と2枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない


