トリアム-1M(TRIAM-1M)は、核融合・プラズマ物理学の装置。超伝導トロイダル磁場コイルを備えた高磁場トカマクであり、低ハイブリッド波による非誘導電流駆動で世界最長の5時間超の放電を実現した。定常運転に向けた電流分布制御や壁リサイクリングの研究が進められている。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは28本ある。比重が最も大きかったのは2000–2004年で、その期間の論文の0.22%を占めた。直近の2025–2029年では0.00%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1990年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
TRIAM-1M(トリアム-1M)は、日本(九州大学)に建設された高磁場超伝導トカマク装置である。主要半径 0.8 m、ダイヤモンド状断面のプラズマ(半径方向 0.12 m × 鉛直方向 0.18 m)、トロイダル磁場 8 T という小型ながら高磁場の構成を持ち、その目的は高磁場・コンパクトな定常状態核融合炉への道筋を実験的に探ることにあった。超伝導コイルをトロイダル磁場に用いることで長時間放電が可能となり、低域混成波電流駆動(LHCD)による数時間に及ぶ定常運転、内部輸送障壁(ITB)を伴う高イオン温度モードの発見、プラズマ・壁相互作用と壁の粒子制御の研究など、定常トカマク炉に固有の課題を小型装置で検証する役割を担った。
装置と研究目標
TRIAM-1M の最大の特徴は、ニオブ3スズ(Nb₃Sn)超伝導コイルによる 8 T 級の高トロイダル磁場である。磁場が高いと同じプラズマ圧力に対してより高い密度・温度のプラズマを小型の装置で保持できるため、コンパクト炉の概念実証に適する。一方で超伝導磁体は、プラズマ崩壊(ディスラプション)時の電磁的擾乱や、運転に伴う放射線損傷・不純物蓄積といった、超伝導磁体を炉心に近置くこと固有の問題にも直面した。装置はダイヤモンド断面の非円形プラズマを持ち、可動リミタやシングルヌルダイバータ構成への切り替えも可能であった。
研究の中心課題は「高性能な定常運転」、すなわち電流を誘導ではなく波による駆動で長時間維持することであった。この目標は「一日中の高性能運転」とも表現され、装置の改良と運転制御の進展とともに放電持続時間の記録を更新し続けた。
超長パルス・定常運転
TRIAM-1M の最も顕著な成果は、超長時間放電の実現である。1990年頃には 2.45 GHz の低域混成波(出力 35 kW 以下)のみでプラズマ電流 35 kA、平均電子密度 3×10¹² cm⁻³ を 3 分以上維持することに成功した。この運転では、電子温度約 1 keV、イオン温度約 0.5 keV が定常電流駆動の間ほぼ一定に保たれ、定常運転を致命的に阻害するような不純物蓄積が生じないことが示された。その後記録は更新され、2.45 GHz LHCD による 2 時間を超える放電、最終的には 5 時間 16 分に達した。また 8.2 GHz の LHCD を用いて高密度プラズマを 1 分間維持した例や、高伸長率(κ ≈ 1.5)のシングルヌルダイバータ構成を 1 分間維持した例もある。
こうした超長時間運転で重要になるのは、プラズマ位置とガス供給の精密制御、初期位相の制御、リミタへの熱負荷集中の回避、壁コンディショニング、そして長時間放電の急激な終了の回避である。定常状態ではエネルギーと粒子の収支が釣り合っていなければならず、局所的なプラズマ・壁相互作用が全局の粒子収支を支配しうるため、熱負荷・再循環流・不純物源の分布を理解し制御することが不可欠とされた。
低域混成波電流駆動と電流分布制御
定常運転の心臓部は LHCD である。TRIAM-1M では 2.45 GHz と 8.2 GHz の二つの周波数を組み合わせた多重電流駆動系を用い、電流密度分布を電流拡散時間より約 2 桁長い時間スケールにわたって制御できることを示した。周波数の異なる波は共鳴面の位置が異なるため、それぞれが異なる半径領域に電流を駆動でき、その位相スペクトル(平行屈折率スペクトル)を変えることで駆動電流の分布を操作できる。電流ランプアップ実験や、駆動効率の向上、高密度・高出力領域への運転領域拡大も行われた。定常 LHCD 放電中の硬 X 線放射の半径分布測定は、高速電子の分布と駆動電流の空間分布を知る手がかりとなった。さらに、ITER 関連技術として遠隔操縦型アンテナを用いた電子サイクロトロン電流駆動(ECCD)実験が行われ、LHCD で駆動された高速電子との相対論的ドップラー共鳴が研究された。
高イオン温度モードと内部輸送障壁
2.45 GHz LHCD プラズマにおいて、イオン温度が 0.6 keV から約 2.5 keV へと急激に遷移する運転領域が発見され、「高イオン温度(HIT)モード」と名付けられた。このモードはイオン温度の急峻な勾配(最大 85 keV/m、ピーク温度は 5 keV を超える場合もある)を伴い、内部輸送障壁(ITB)の形成・維持として理解される。LHCD による電流分布制御と ITB の形成が結びついた、小型装置での先駆的な例である。
HIT モードは電子密度とプラズマ水平位置のごく狭い窓でのみ出現する。これは、障壁の形成が局所的な加熱機構と輸送の微妙なバランスに依存することを示す。長時間維持には密度と位置の高精度制御が不可欠であり、リミタへの熱負荷集中の回避が成否を分けた。シングルヌル構成では壁とプラズマの実効的な熱遮蔽が改善されるため、より高性能な HIT 放電が達成された。
プラズマ・壁相互作用、再循環と超伝導磁体の課題
長時間定常運転では、燃料粒子の大部分が壁とリミタとの再循環で供給されるため、壁の振る舞いがプラズマ制御を直接左右する。TRIAM-1M では長時間放電中の全局粒子収支、壁ポンピング、壁の飽和過程が系統的に研究され、水素再循環に対する壁表面温度の効果が調べられた。水冷モリブデン可動リミタを最外殻磁気面の外側へ移動させて表面温度分布を変える実験では、ホットスポット温度が約 2100 K を超えると水素と不純物の放出が顕著に増大する臨界温度が見いだされ、熱活性化過程がプラズマ・壁相互作用で重要な役割を果たすことが示された。局所的な相互作用が外部燃料供給を止めた後の全局再循環を支配しうることも明らかになった。また、ヘリウム放電による金属材料の微視的損傷が水素再循環過程に影響を与えること、電荷交換中性粒子が第一壁材料に与える損傷が深刻であること(中性粒子は磁場で偏向できないため、新たな防護技術が必要とされた)も報告された。
超伝導磁体側の課題としては、プラズマ崩壊が超伝導磁気システムに与える影響の評価や、Nb₃Sn 磁気システム内への不純物蓄積の研究が行われた。これらは超伝導トカマクを長年運転した結果得られた、炉設計上貴重な知見である。TRIAM-1M は小型でありながら、高磁場・超伝導・定常電流駆動という将来炉の三要素を兼ね備えた実験装置として、定常トカマク運転の物理と技術の多くを先取りした。
この解説が根拠にした論文から
- Steady-state tokamak operation, ITB transition and sustainment and ECCD experiments in TRIAM-1MNuclear Fusion 2005
- Recent progress on high performance steady state plasmas in the superconducting tokamak TRIAM-1MNuclear Fusion 1999
- Ultra-long pulse operation using lower hybrid waves on the superconducting high field tokamak TRIAM-1MNuclear Fusion 1990
- A study on temperature effects on hydrogen recycling and molybdenum impurity emission from a movable limiter in TRIAM-1M TokamakNuclear Fusion 2007
- Steady state experiments on current profile control and long sustainment of high performance LHCD plasmas on the superconducting tokamak TRIAM-1MNuclear Fusion 2001
- Recent progress in the superconducting tokamak TRIAM-1MPlasma Physics and Controlled Fusion 1999
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推移
研究の変遷
1985–19942本 · 0.04%
この時代の記述はまだ書かれていない
1995–200418本 · 0.18%
この時代の記述はまだ書かれていない
同時に語られた主題定常状態、リサイクリング、電流分布、電流駆動、磁石システム、低域混成波電流駆動
この時代の論文から
- Recycling and wall pumping in long duration discharges on TRIAM-1MNuclear Fusion 2002
- Overview of steady state tokamak plasma experiments in TRIAM-1MNuclear Fusion 2003
- Recent progress on high performance steady state plasmas in the superconducting tokamak TRIAM-1MNuclear Fusion 1999
- Global particle balance and wall recycling properties of long duration discharges on TRIAM-1MNuclear Fusion 2004
2005–20148本 · 0.05%
この時代の記述はまだ書かれていない
同時に語られた主題定常状態、低域混成波電流駆動、電子サイクロトロン電流駆動、リサイクリング、リミッター、内部輸送障壁
この時代の論文から
- Steady-state tokamak operation, ITB transition and sustainment and ECCD experiments in TRIAM-1MNuclear Fusion 2005
- Electron cyclotron current drive experiments in LHCD plasmas using a remote steering antenna on the TRIAM-1M tokamakNuclear Fusion 2006
- A study on temperature effects on hydrogen recycling and molybdenum impurity emission from a movable limiter in TRIAM-1M TokamakNuclear Fusion 2007
- Application of the Zeeman patterns to the measurement of local neutral behaviour in the edge plasma of TRIAM-1M tokamakPlasma Physics and Controlled Fusion 2006
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文23本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、6本の論文(うち全文0本)と0枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない
