フェライト鋼(Ferritic steel)は、核融合・プラズマ物理学の材料。低放射化フェライト鋼を指し、核融合実証炉のブランケット構造材や第一壁材料として開発が進む。強磁性によりトロイダル磁場リップルを低減し、高速イオン損失を抑える鋼板としても用いられる。JFT-2Mでの壁被覆実験や照射特性評価が行われている。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは50本ある。比重が最も大きかったのは2000–2004年で、その期間の論文の0.16%を占めた。直近の2025–2029年では0.00%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1995年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
フェライト鋼は、体心立方格子の鉄を主相とする鋼材であり、核融合炉の構造材料、とりわけブランケットや第一壁の候補材料として、最も重点的に開発が進められてきた金属材料である。融合炉環境では高温・高中性子束・冷却材との接触という過酷な条件が同時に課されるため、材料の選択は炉の成立性そのものを左右する。以下では、なぜフェライト鋼が選ばれたのか、その低放射化設計と強化手法、そしてトカマク炉内での磁気的影響という、この材料に特有の課題を順に説明する。
融合炉構造材料としてのフェライト鋼
核融合炉の構造材料には、(1) 高速中性子による損傷に耐えること、(2) 高温で十分な強度を保つこと、(3) 中性子照射後の放射能が低く廃棄物管理が容易なこと、(4) 冷却材やプラズマに対して化学的に安定であることが求められる。オーステナイト系ステンレス鋼は加工性や照射下での延性に優れるが、熱膨張が大きく高温強度で劣るうえ、照射スエリング(体積膨張)が生じやすい。一方、フェライト鋼およびマルテンサイト鋼は熱膨張係数が小さく、熱伝導率が高く、照射スエリングが極めて小さいという構造材料として本質的な利点を持つ。このため日本と欧州の融合材料計画は、デモンストレーション炉(DEMO)以降を見据えて低放射化フェライト/マルテンサイト鋼の研究開発を最優先課題に位置づけ、国際エネルギー機関(IEA)の融合材料作業部会を通じた共同試験プログラムによって、核融合炉適用に必要な資格認定のための広範な試験が進められてきた。代表的な工業規模で製造された8–9Cr-2W系の低放射化鋼について、設計者がブランケット構造の機械設計に用いられる予備的な材料データ一式を整備するデータベース構築が進められている。
低放射化フェライト鋼(F82H、JLF-1)
通常の鋼にはニッケル、モリブデン、ニオブなど、中性子照射によって長寿命の放射性核種を生成する元素が含まれる。低放射化の考え方は、これらを炉心近傍での使用が許容される元素に置き換えることにある。具体的には、モリブデンをタングステンで、ニオブをタンタルで置換した8–9Cr-2W-V-Ta系の組成が国際的な標準となった。日本ではこの系に基づくF82H(JAEA系)とJLF-1(約9Cr-2W)が代表的な低放射化フェライト鋼として開発され、溶製・加工・溶接の各工程を含む工業的な製造技術がほぼ確立されている。さらに、の同位体組成(窒素14と窒素15)を制御して炭素14の生成を抑えるという手法も検討されており、炉の解体後の放射性廃棄物の分類をより低いレベルに引き下げ、環境負荷と廃棄コストを削減する方向性が示されている。材料データベースの整備、核分裂炉(例えば米国の高フラックス同位体炉)での高照射量試験、国際核融合材料照射施設()による14 MeV中性子照射試験、そしての試験への適用という段階を経て設計に必要なデータを供給するという道筋が、日本の研究開発ロードマップとして明示されている。
推移
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研究の変遷
1995–200412本 · 0.12%
JFT-2Mにおけるフェライト鋼壁とリップル低減
この時期、フェライト鋼はJFT-2Mでの壁材料やリップル低減用ボード挿入といったプラズマ実験に用いられ、同時に核融合炉構造材料として還元活性化フェライト/マルテンサイト鋼の研究開発が進められた。ITER計画では高エネルギー粒子損失低減のためのインサートとしての検討がなされ、真空容器や第一壁、DEMOブランケットといった要素と関連づけられた。
同時に語られた主題低放射化フェライト/マルテンサイト鋼、第一壁、真空容器、高エネルギー粒子、DEMOブランケット
この時代の論文から
- High performance tokamak experiments with a ferritic steel wall on JFT-2MNuclear Fusion 2003
- Demonstration of ripple reduction by ferritic steel board insertion in JFT-2MNuclear Fusion 2001
- Recent progress in reduced activation ferritic steels R&D in JapanNuclear Fusion 2003
よく登場する装置
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文9本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、3本の論文(うち全文0本)と0枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない
