熱伝導率(Thermal conductivity)は、核融合・プラズマ物理学の現象。プラズマや固体材料中の熱輸送のしやすさを表す輸送係数で、温度勾配に応じた熱流束を規定する。磁場閉じ込めプラズマでは電子・イオンの異常輸送として評価され、トカマクやヘリカル装置の測定からχeやχiとして導出される。炉材料では充填層やタングステンの実効熱伝導率が設計上重要である。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは95本ある。比重が最も大きかったのは1980–1984年で、その期間の論文の0.28%を占めた。直近の2025–2029年では0.12%。
解説
熱伝導率とは、物質中やプラズマ中に温度勾配があるときに、熱がどの程度の速さで流れるかを表す物質量であり、単位は W/(m·K) で表される。核融合研究においてこの量は二つの顔を持つ。一つは炉材料の側で、遮蔽や増殖床、ダイバータの熱設計を支配する工学的な物性値であり、もう一つはプラズマの側で、高温プラズマ中の熱輸送を記述し、エネルギー閉じ込め時間を直接決める中心的な物理量である。同じ名前で呼ばれながら、扱う対象もスケールも大きく異なるため、本項ではこの両者を別個に述べる。
定義と物理機構
熱伝導率 k は、フーリエの法則 q = −k∇T によって定義される。ここで q は熱流束、∇T は温度勾配であり、熱流は温度勾配に比例し、その逆方向に流れる。この比例係数が熱伝導率で、その大きさは熱を運ぶ担体の密度・速度・平均自由行程で決まる。
金属では主な担体は伝導電子であり、電気伝導と熱伝導が同じ電子によって運ばれるため、ヴィーデマン–フランツ則と呼ばれる関係を通じて両者は結びつく。したがって電気抵抗を生む欠陥や不純物は熱伝導率も下げる。絶縁体やセラミックスでは格子振動(フォノン)が担体となり、結晶の乱れや粒界でフォノンが散乱されるほど熱伝導率は下がる。高温では電子・フォノンとも散乱が増えるため、金属の熱伝導率は一般に温度とともに低下する。一方、気体では分子そのものが熱を運び、平均自由行程が容器サイズや隙間の幅に達すると熱伝導率が圧力に依存するようになる。この圧力依存性は、後述の増殖床の熱設計で重要な意味を持つ。
プラズマでは事情が根本的に異なる。磁場がないプラズマでは電子が熱の主要な担体であり、その平均自由行程が長いため熱伝導率は極めて大きい。ところが磁場中では荷電粒子が磁力線の周りをラーマー運動するため、磁力線に垂直な方向の熱流は強く抑制される。このとき熱伝導率はテンソルとなり、磁力線に平行な成分(平行熱伝導率)は垂直な成分より桁違いに大きい。核融合プラズマの閉じ込めが本質的に「磁力線に垂直な熱伝導」の問題であるのはこのためである。
核融合材料の熱伝導率
第一壁やダイバータに使われる材料には、プラズマから入射する強力な熱流を素早く冷却水へ逃がすことが求められ、熱伝導率は材料選定の最重要指標の一つである。タングステンは融点が約3695 Kと高く、熱伝導率も優れているため、ダイバータターゲット材の最有力候補とされている。ただし純タングステンの熱伝導率は温度とともに低下し、室温付近の約170 W/(m·K) から高温では100 W/(m·K) 程度まで下がる。
推移
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研究の変遷
1970–19844本 · 0.16%
トカマク輸送と不安定性における熱伝導率
トカマクにおけるリップル捕獲イオンやエルゴード磁気リミターに伴う電子熱伝導率など、輸送現象の測定・解析が中心である。中性粒子入射加熱や高圧衝突プラズマ中のドリフト不安定性との関連でも議論された。
この時代の論文から
- Thermal conductivity due to ripple-trapped ions in a tokamakNuclear Fusion 1982
- Electron thermal conductivity in an ergodic magnetic limiterNuclear Fusion 1983
- Temperature dependence of the electron thermal conductivity coefficient inferred from neutral-beam injectionNuclear Fusion 1981
- Effect of ion viscosity and thermal conductivity on the drift instability in an inhomogeneous high-pressure collisional plasma
よく登場する装置
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文18本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、7本の論文(うち全文1本)と1枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない

