ジャイロトロン(Gyrotron)は、核融合・プラズマ物理学の装置。磁場中をらせん運動する電子ビームと電磁波のサイクロトロン共鳴相互作用により、メガワット級の大出力ミリ波を発生する真空管である。核融合プラズマの電子サイクロトロン加熱・電流駆動や密度ゆらぎ計測などに用いられ、連続波動作と高効率化が進められている。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは158本ある。比重が最も大きいのは直近の2025–2029年で、その期間に発表された論文の0.54%を占める。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1985年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
ジャイロトロンは、磁場中の電子のサイクロトロン運動を利用してマイクロ波・ミリ波を発生させる真空管発振器であり、現在ではメガワット級の高出力を連続的に得られる唯一の電磁波源として、核融合研究を中心に不可欠な地位を占めている。電子サイクロトロン加熱(ECH)や電流駆動(ECCD)に用いられる周波数は磁場強度でほぼ決まり、例えば5.3 Tの磁場では170 GHz、より低磁場の装置では28 GHzや14 GHzといった帯域が使われる。図は、ジャイロトロン管本体の外観と、電子銃・共振器・出力窓・コレクタからなる複合システムの全体構成を示したものである。

fig.1 Multi-frequency, megawatt-power gyrotron to facilitate a wide range of operations at ITER (2023) · CC BY 4.0
Appearance of gyrotron tube and a schematic view of gyrotron complex with a matching optics unit.
動作原理:電子サイクロトロン・メーザー相互作用
ジャイロトロンの発振原理は「電子サイクロトロン・メーザー」と呼ばれる。磁場中に置かれた電子は、磁場方向を軸としてサイクロトロン周波数でらせん運動をする。ここで、電子の進行方向に伝搬する電磁波の周波数がこのサイクロトロン周波数に一致(正確にはわずかに上回る)するようにすると、電子は波の電場から位相の揃った形でエネルギーを与え続ける。これは、電子の相対論的質量がエネルギー依存であることを利用したもので、加速された電子は質量が増えて位相が遅れ、逆に減速された電子は位相が進む。この位相の集束(バンチング)によって、電子の横方向エネルギーがコヒーレントに電磁波へ変換される。
通常のマイクロ波真空管(クライストロンなど)が共振器の寸法で周波数を決めるのに対し、ジャイロトロンの周波数は磁場とサイクロトロン共鳴で決まる。このため共振器を波長よりずっと大きくできる――波長の数倍から十数倍程度――のが決定的な違いである。共振器の壁面積が大きく取れるため、高周波まで大出力を引き出せ、波長1.7 mm(170 GHz)で1 MWという、他の方式では到達できない出力水準が実現している。は数万から十万ボルト程度の電圧で加速され、そのエネルギーの一部がミリ波に変換される。
推移
他の項目を重ねる
研究の変遷
1985–19947本 · 0.13%
黎明期の試行
高出力化の見通し、大軌道ジャイロトロンの分散関係、先進的ジャイロトロンの物理など理論・開発の基盤が論じられた。トカマクでのアルフヴェン波散乱計測への応用も現れ、プラズマ診断との関連が見られる。超伝導マグネットの研究も伴っている。
同時に語られた主題トムソン散乱、プラズマ診断、集団トムソン散乱、アルフヴェン波
この時代の論文から
- Prospects for high power gyrotronsPlasma Physics and Controlled Fusion 1985
- Dispersion relation for a large-orbit gyrotronPlasma Physics and Controlled Fusion 1987
- Physics of advanced gyrotronsPlasma Physics and Controlled Fusion 1993
よく登場する装置
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文56本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、7本の論文(うち全文3本)と2枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない

