NET(Next European Torus)は、核融合・プラズマ物理学の装置。欧州核融合計画においてJETの次段階として設計されたトカマク型実験炉である。重水素-トリチウム燃焼による点火と数百秒の定常燃焼を実証し、ブランケット、ダイバータ、遠隔保守など炉工学技術の統合試験を目的とした。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは93本ある。比重が最も大きかったのは1985–1989年で、その期間の論文の0.95%を占めた。直近の2025–2029年では0.09%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1980年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
次欧州トーラス(Next European Torus、NET)は、1980年代に欧州核融合計画において次世代トカマク装置として構想された大型実験炉である。JET(欧州合同トーラス)の次の段階として、点火したプラズマを数百秒程度にわたって維持できる能力を持つことを目標に掲げ、プラズマ物理の実証と、炉に不可欠な核融合技術の統合試験という、物理と工学の二重の目的を担うものとして設計活動が進められた。NET の設計研究は後に国際熱核融合実験炉 ITER の構想へと受け継がれ、両者はしばしば一体のものとして論じられた。
歴史と欧州核融合計画における役割
NET の構想は、JET が建設中であった1980年代初頭に、欧州原子核融合計画の長期戦略の一環として生まれた。JET が既存の物理知識の範囲でプラズマ閉じ込めの実証を目指す装置であったのに対し、NET はその次の段階、すなわち D-T 燃焼プラズマの生成と、炉に必要な工学技術の実証を同時に担う装置として位置づけられた。設計活動と並行して、欧州の関連研究所(アソシエーション)による技術開発計画が組まれ、超伝導磁石、プラズマ対向部材、ブランケット、遠隔操作、トリチウム技術、安全性の六つの主要分野で実験データを蓄積することが定められた。この技術計画は NET の設計と密接に結びつけられ、1991年から本格的な工学設計段階に入る前の実現性評価を支えることを目的としていた。
NET の設計思想の中心には、次世代装置の成否が物理性能の確証を待たずに決められない部材、とりわけ第一壁やダイバータ板といったプラズマ対向部材の信頼性にかかっているという認識があった。このため装置全体の設計は比較的保守的なプラズマ物理の仮定に基づいて行われ、プラズマ対向部材は運転中の交換を前提として設計されることになった。この「物理は保守的に、工学は交換可能に」という方針は、後の ITER の設計原則にもそのまま引き継がれた。
NET では、共通の設計解と技術を基盤とする二つの基本機械の選択肢が検討された。第一の選択肢 NET I はプラズマ電流 15 MA、誘導駆動による燃焼時間約 300 秒を目標とするものであり、第二の選択肢 NET II はプラズマ電流 25 MA、燃焼時間 700 秒の誘導燃焼を目標とする、より大型で野心的なものである。両者は同じ技術基盤に立つことで、装置規模の決定を技術開発の進展と切り離して検討できるようにしていた。プラズマ電流の大きさはエネルギー閉じ込め時間やベータ値に対する物理的要求を直接左右するため、この二段構えは「最小限の物理目標を確実に達成する装置」と「炉としての工学使命を十分に果たす装置」の間のトレードオフを明示するものであった。
NET の設計において「プラズマ工学」と呼ばれた分野は、プラズマの物理性能と装置の工学制約を結びつける役割を担った。対象となる課題は、立ち上げ・燃焼・遮断の各相におけるプラズマ配位の設計、燃焼中の平衡と安定性の制御、ポロイダル場コイル電源の要求仕様、そしてディスラプションの影響である。点火プラズマを数百秒維持するという目標は、単に十分な閉じ込め性能を得るだけでなく、その間プラズマの位置、形状、電流分布を制御し続けることを意味し、これが超伝導コイルと電源の技術的制約の範囲内で達成可能かどうかが問われた。
ディスラプションは、プラズマ工学上の最大の懸念の一つであった。電流 15 MA を超えるプラズマの急速消滅は、真空容器や炉内構造物に大きな電磁力を与えるだけでなく、プラズマ対向部材に深刻な熱衝撃をもたらす。このため NET の設計では、ディスラプションの発生を前提に、構造物の電磁解析とプラズマ対向部材の耐久設計が進められた。加熱系については、電子サイクロトロン加熱を通常モードでシフトダウン周波数により行う方式の検討など、燃焼プラズマの補助加熱と制御の手段が研究された。
ブランケットは、NET が炉工学の実証装置として果たすべき使命の中心であった。遮蔽ブランケットの組立方式については、開発提案の形で設計概念が検討され、遠隔操作による交換を可能にする構造が追求された。発電ブランケットの概念としては、水冷却による自己冷却型の概念を NET に適用する可能性が検討されるなど、増殖・除熱機能を持つブランケットの実現性評価が技術計画の一環として行われた。また、事故時の過圧に対するブランケット要素の健全性については、缶型ブランケット要素を対象に理論解析と実験の両面から検証が進められた。これらの研究は、トリチウム増殖と安全設計が炉設計に不可欠であるという認識を反映している。
技術計画は前述の六分野、すなわち超伝導磁石、プラズマ対向部材、ブランケット、遠隔操作、トリチウム技術、安全性を骨格とし、欧州の関連研究所が分担して実験データを設計評価に供給する体制であった。設計活動が重点を置くのは、原型試験によって実現性を示す必要がある部材であり、この「設計と開発の一体化」が NET 計画の方法論的な特徴であった。
11本のうち多くはLHDにおけるnet-current freeヘリオトロンプラズマのエネルギー閉じ込め、定常状態、高ベータ領域を扱う。また、JT-60Uのベータ限界予測にニューラルネットを用いる論文や、実用炉でのnet electric power生成を議論する論文も含まれる。装置NETを指す用例はない。