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燃焼プラズマ

Burning plasma

燃焼プラズマ(Burning plasma、burning plasmas)は、核融合・プラズマ物理学の現象。重水素-トリチウム反応で生成されるアルファ粒子の熱化が、外部加熱に代わってプラズマ温度を維持する主要な加熱源となる状態を指す。燃焼プラズマは核融合出力Qの増大を可能にする一方、高エネルギー粒子駆動の不安定性やアルファ粒子輸送など新たな物理課題を生む。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは103本ある。比重が最も大きいのは直近の2025–2029年で、その期間に発表された論文の0.50%を占める。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1985年以降で、それ以前の収録論文には現れない。

目次

  1. 1解説
  2. 2推移
  3. 3研究の変遷
  4. 4よく登場する装置
  5. 5関連項目
  6. 6この数字の作り方

解説

燃焼プラズマとは、核融合反応で生じたエネルギーのうち、荷電粒子が運ぶ分がプラズマ自身の中で熱化され、外部加熱に代わってプラズマ温度を維持する主要な熱源となっている状態である。重水素(D)と三重水素(T)の融合反応 D + T → α (3.5 MeV) + n (14.1 MeV) では、反応エネルギーの約2割がアルファ粒子に、残り8割が中性子に持ち去られる。中性子は磁場で閉じ込められずプラズマ外へ逃げるため、プラズマの自己加熱を担えるのはアルファ粒子だけであり、この自己加熱が外部入力を上回った状態が燃焼プラズマである。融合増倍率 Q(融合出力の外部加熱入力に対する比)で見れば、Q が大きくなりアルファ加熱が支配的になるほど「燃焼」の性格が強まり、次世代トカマクであるITERでは Q ≥ 10 が設計目標とされ、この領域で初めて観測できる物理が数多く存在する。

燃焼の物理的条件

燃焼が成立するかどうかは、プラズマの温度・密度・エネルギー閉じ込め時間の積で決まる。これはローソン基準として知られ、D-T反応では温度が10 keV(約1億度)以上の領域で反応率が急激に上昇するため、nτE と温度の組み合わせがある閾値を超えれば、アルファ粒子の加熱が輸送による損失を上回り、自己維持的な燃焼(点火)に至る。逆に言えば、閉じ込め性能がこの閾値に届かなければ、外部加熱で補償する「準点火」的な運転となる。

実際の燃焼プラズマでは、単純な一流体のローソン条件では不十分である。アルファ粒子は減速してヘリウム灰となり、燃料とは異なる粒子種として振る舞うため、燃料イオン・電子・アルファ粒子・灰を区別する多流体の扱いが必要になる。多流体モデルでは、灰の蓄積が燃料密度を希釈し、単一流体モデルで評価するよりも高いローソン積が点火に要求される。このため、燃焼プラズマでは燃料供給(ペレット入射やガス入射)と灰除去(排気)を一つの燃料サイクルとして設計することが不可欠であり、燃焼率(投入したトリチウムのうち燃焼する割合)を上げることは、増殖比として知られるトリチウム自給の要求を緩和する効果もある。

アルファ粒子加熱と自己維持燃焼

アルファ粒子は3.5 MeVという熱運動より桁違いに高いエネルギーで生まれ、クーロン衝突によって減速しながらエネルギーを背景プラズマに渡す。この減速過程では、エネルギーを渡す相手が電子に偏る時期とイオンに移る時期があり、高エネルギーのうちは主に電子を加熱する。ここに燃焼プラズマ特有の難しさがある。イオン温度を高く保つにはイオン加熱が望ましいが、アルファ粒子のエネルギーの大半はまず電子に落ちる。さらに電子温度がイオン温度を大きく上回るか、あるいはその逆の温度比が臨界値を横切ると、イオン輸送が急激に増強されてイオン温度がクランプされる現象がヘリカル装置の実験で知られており、電子加熱支配下の燃焼プラズマではこの温度比の制御が核心的な課題となる。

自己維持燃焼を達成するには、アルファ粒子が減速を終えるまでの間、十分に閉じ込められている必要がある。アルファ粒子は少数成分でありながらプラズマの運動エネルギーの大きな割合を担うため、その振る舞いがプラズマ全体の挙動を左右する。また、燃焼が進むとアルファ粒子の蓄積と灰化によってプラズマは元の燃焼なしの状態とは質的に異なる多成分系となり、密度分布・燃焼率・融合出力は燃料供給の深さや量、D対Tの比に敏感に依存する。ペレットの侵入深さがわずかに変わるだけで粒子閉じ込めと融合性能が大きく変化しうるという予測もあり、燃料供給の制御精度が直接プラズマ性能に結びつく。

高エネルギー粒子物理とMHD不安定化

燃焼プラズマを特徴づける最も新しい物理は、アルファ粒子が駆動する集合現象である。アルファフェーズ速度はアルフベン波の位相速度と同程度であり、共鳴によってアルフベン固有モード(AE)が不安定化する恐れがある。成長したAEはアルファ粒子を空間的に再分布させ、場合によっては減速しきる前にプラズマ外へ排出する。これは自己維持燃焼の前提そのものを侵食するため、アルファ粒子の閉じ込めは融合研究の鍵課題の一つとされてきた。

一方で、MHD不安定化は一概に有害ではない。中心部の温度や密度を緩める鋸歯状不安定化は、熱化したアルファ粒子(灰)を中心から外へ運ぶ役割を果たす一方、未減速の高エネルギーアルファを失わせたり、新古典ティアリングモード(NTM)のようなより有害なモードを誘発したりする。つまり燃焼プラズマでは、アルファ粒子とMHDモードの相互作用的な関係の中で、望ましい効果と有害な効果のバランスを取ることが課題となる。さらに、波動と粒子の共鳴相互作用(ランダウおよび逆ランダウ減衰)を利用して、アルファ粒子のエネルギーを損失ではなく燃料イオンへ直接移す「アルファチャネリング」という発想があり、電子加熱支配を回避して高いイオン温度を維持する手段として注目されている。既存装置では、アルファ粒子を中性粒子入射や高周波加熱イオンで模擬してこれらの不安定化と輸送が研究されており、キネティック-MHDハイブリッドシミュレーションによる予測も進んでいる。

燃焼制御と運転シナリオ

燃焼プラズマでは、外部加熱出力がアルファ加熱に比べて小さくなるため、今日のトカマクで一般的な「外部加熱で温度を制御する」という手法が使えなくなる。燃焼出力は密度と温度に強い非線形依存をするため、熱的な暴走や熄火を避けるには、燃料供給(ペレット・ガス入射)を主なアクチュエータとして燃焼をフィードバック制御する必要がある。同時に、鋸歯状不安定化やNTM、エッジ局在モード(ELM)といったMHDモードに対しては、波動加熱や共振磁場擾乱(RMP)などを用いた能動制御が求められる。

燃焼プラズマ装置の運転は、プラズマの立ち上げから電流立ち上げ、定常燃焼、終了までを一連のシナリオとして設計する統合的な問題である。ITERでは、安全係数分布の形によって分類される三つの主要シナリオ、すなわち単調なq分布を持つ基準H-modeシナリオ、平坦なq分布を持つハイブリッドシナリオ、逆磁気剪断を利用する定常状態シナリオが想定されており、それぞれが閉じ込め性能、MHD安定性、非誘導電流割合、ダイバータとの両立性において異なる長所と制約を持つ。これらのシナリオ開発では、限られたアクチュエータ(磁場コイル、中性粒子入射・高周波加熱、ガス・ペレット入射、排気ポンプ)を用いて、平衡、温度、電流分布、密度、不純物、MHD活動を同時に制御しなければならない。燃焼プラズマでは物理・技術プロセスの非線形な相互結合が強いため、個別現象の理解だけでは不十分であり、統合的な時間発展シミュレーションと、既存装置での無次元パラメータを合わせた相似実験によってシナリオを検証するアプローチが取られている。

Schematic diagram of relations between actuators, plasma, and output parameters in a high fusion gain device such as ITER.

fig.1 Integrated operation scenarios: Chapter 6 of the special issue: on the path to tokamak burning plasma operation (2025) · CC BY 4.0

Schematic diagram of relations between actuators, plasma, and output parameters in a high fusion gain device such as ITER.

図は、高融合利得装置におけるアクチュエータ(コイル、中性粒子入射、高周波、ガス・ペレット入射、排気、RMP/SPI)が主プラズマおよびSOL/ダイバータの各パラメータに作用し、最終的に融合出力・Q・非誘導電流割合・中性子フルエンスとして出力される関係を模式的に示したものである。燃焼制御が単一の物理ではなく、多数の要素の統合的調整であることをよく表している。

燃焼プラズマ実現への道:磁場閉じ込めと慣性閉じ込め

燃焼プラズマの実現には二つの大きなアプローチがある。一つは磁場閉じ込めで、トカマクやヘリカル装置のように磁場で高温プラズマを長時間閉じ込め、準定常的な燃焼を目指す。ITERはこの代表例であり、アルファ加熱、閉じ込め障壁、圧力・分布制御、ダイバータとの両立という非線形に絡み合った問題を統合的に扱える唯一の装置として位置づけられている。これまでのD-T実験では、TFTRが3年間で累計1.6 GJ、単発ピーク出力10.3 MWの融合出力を達成し、JETはDTE1でピーク16 MW、近年のDTE3では1回の放電で69 MJの融合エネルギーを生成した。これらは燃焼プラズマには届いていないが、その手前の物理を検証する重要な実績となっている。ヘリカル装置では、トカマクと異なりプラズマ電流を必要としない定常運転の利点を生かしつつ、アルファ粒子によるイオン加熱、電子加熱支配下の乱流輸送、ヘリウム灰除去といった燃焼プラズマの基礎物理が研究されている。

もう一つは慣性閉じ込めで、レーザーなどで燃料カプセルを極短時間で圧縮・加熱し、慣性の間だけ閉じ込める方式である。米国国立点火施設(NIF)では、間接駆動方式と呼ばれる、レーザーを黒体空洞(ホールラウム)内壁に当ててX線に変換しカプセルを爆縮する手法を用い、レイリー・テイラー不安定化の抑制、ホールラウムとカプセルのX線結合の改善、時間変化する爆縮対称性の制御、ターゲット表面の微細構造起因の擾乱の低減といった課題を段階的に解決してきた。その結果、アルファ粒子のエネルギー沈着が燃料プラズマへの主要なエネルギー入力となる燃焼プラズマ状態に到達しつつあり、磁場閉じ込めとは異なる形で燃焼物理の実験研究を可能にしつつある。

いずれのアプローチにおいても、燃焼プラズマは単に「よく閉じ込めた高温プラズマ」ではなく、アルファ粒子という内部熱源がもたらす新しい物理と制御の課題を含む、質的に異なる状態である。その理解と制御は、次世代実験装置と精密な予測シミュレーション、そして既存装置での模擬実験の三者を統合することによって進められている。燃焼プラズマ(burning plasma)とは、重水素と三重水素の核融合反応(D-T反応)で生じるエネルギーのうち、荷電粒子であるアルファ粒子が運ぶ約20パーセントがプラズマ中で熱化され、その加熱によってプラズマ自身の温度を維持できるほど融合反応が盛んになった状態である。この状態では外部から投入する加熱出力を融合出力が大きく上回り(融合出力/外部入力 ≥ 10 が一つの目安)、プラズマは事実上自分自身の反応熱で燃えている。燃焼プラズマは磁場閉じ込め(トカマク、ヘリカル装置)と慣性閉じ込め(レーザー爆縮)の両方で追求されており、ITERやNIF(国立点火施設)はその代表である。磁場閉じ込めでは、プラズマ中心(コア)、ペデスタル、分離面の外側のスクレイプオフ層(SOL)、ダイバータといった領域からなる閉じ込め構造の中で燃焼が維持される。

CAD view of an ITER vessel sector with a poloidal cross-section illustrating the main PFCs (main chamber first wall, baffle, divertor targets, divertor dome) and principal plasma regions (core, pedestal, SOL, far-SOL, inner- and outer divertor).

fig.1 Scrape-off layer and divertor physics: Chapter 5 of the special issue: on the path to tokamak burning plasma operation (2025) · CC BY 4.0

CAD view of an ITER vessel sector with a poloidal cross-section illustrating the main PFCs (main chamber first wall, baffle, divertor targets, divertor dome) and principal plasma regions (core, pedestal, SOL, far-SOL, inner- and outer divertor).

図はトカマク容器の断面を示し、内側からコア、ペデスタル、SOL、遠方SOL、内側・外側ダイバータ領域の別と、第一壁・バッフル・ダイバータターゲットといったプラズマ対向壁の配置が見て取れる。燃焼プラズマの物理は、この中心と周辺部が強く非線形に結合した系全体の挙動として現れる。

燃焼の成立条件

D-T反応は D + T → α (3.5 MeV) + n (14.1 MeV) であり、出力の8割は中性子が運んでプラズマ外へ出ていくため、プラズマの自己加熱に寄与できるのはアルファ粒子だけである。燃焼が持続するかどうかは、密度 n、エネルギー閉じ込め時間 τ_E、温度 T の積で表されるローソン基準で判断される。温度が約10 keV(約1億度)以上では反応率が急激に上がるため、三重積 nτ_ET が臨界値を超えれば、アルファ粒子の加熱が輸送損失を上回り、外部加熱を切り離しても温度が保われる(点火)。融合利得 Q は融合出力と外部入力の比であり、Q = 5 が「アルファ加熱が外部加熱と同程度」、Q = 10 以上が明確な燃焼プラズマ領域に対応する。

燃焼状態では、燃え残った燃料と熱化したアルファ粒子(ヘリウム灰)が蓄積するため、プラズマは単純なD-T二種混合ではなく多成分系になる。灰が溜まれば燃料を希釈して反応率を下げるため、コアからの灰排出は燃焼維持の必須条件であり、燃料供給(ペレット入射など)と排気を含む燃料サイクル全体の設計が性能を左右する。燃焼率(投入トリチウムのうち燃焼する割合)を上げることは、炉のトリチウム増殖要求を緩和することにも直結する。

アルファ粒子加熱と自己維持燃焼

アルファ粒子は3.5 MeVという燃料イオンの熱運動よりはるかに高いエネルギーで生成され、クーロン衝突を繰り返して減速しながらエネルギーを背景プラズマに渡す(熱化)。減速の初期にはエネルギーの受け手が電子に偏るため、燃焼プラズマでは電子加熱が支配的になりやすい。これは自明に良いことではない。電子とイオンの温度比 T_e/T_i が1を下回る領域ではイオン輸送が急激に増強されてイオン温度が頭打ちになる現象がヘリカル装置の実験で示されており、電子加熱支配の燃焼プラズマで高いイオン温度を保てるかは重要な未解決問題である。アルファチャネリング、すなわち波動と粒子の相互作用(ランダウ・逆ランダウ減衰)によってアルファ粒子のエネルギーを衝突を介さず燃料イオンへ直接移す構想は、この問題への解の一つとして研究されている。

自己維持燃焼のためには、アルファ粒子が減速を終えるまでの間よく閉じ込められることが前提である。アルファ粒子は粒子数としては少数だが運動エネルギーの大きな割合を担い、その輸送が燃焼の成否を直接左右する。既存装置ではアルファ粒子を中性粒子入射や高周波加熱で模擬し、高速イオンの緩和や輸送の予測モデルの検証が進められているが、真の燃焼プラズマ条件は部分的にしか再現できず、残りは統合的な予測シミュレーションに頼らざるを得ない。

高速粒子とMHD不安定性

燃焼プラズマ特有の新しい物理は、アルファ粒子が駆動する集合現象である。アルフベン固有モード(AE)と呼ばれるMHD振動の位相速度はアルファ粒子の速度に近く、共鳴によってAEが不安定化し、成長した波がアルファ粒子を再分布させて閉じ込めを劣化させる恐れがある。一方でMHDモードは有益な働きもする。鋸歯状不安定性は熱化したアルファ粒子をコアから外へ運ぶ主要な輸送機構であるが、同時に未熱化の高速アルファを失わせたり、新古典ティアリングモード(NTM)を誘発して閉じ込めを損ない、最悪の場合ディスラプション(放電の突然の終息)につながったりする。プラズマ端のエッジ局在モード(ELM)はペデスタルのエネルギーを断続的に放出し、対向壁に過渡的な熱負荷を与える。つまり燃焼プラズマでは、高速粒子とMHDモードの非線形な相互関係の中で、望ましい効果と有害な効果のバランスを取ることが本質的な課題となる。

燃焼制御と運転シナリオ

燃焼プラズマでは外部加熱出力がアルファ加熱に比べて小さいため、今日の装置で一般的な「外部加熱で温度を制御する」手法が使えない。制御の主な操作手段は燃料供給(ペレット・ガス入射)、磁場コイル、電流駆動、排気であり、これらを通じて密度・温度・電流分布・MHD活動を同時に制御する必要がある。燃焼出力は密度と温度に強い非線形依存をするため、熱的な暴走や熄火を避ける燃焼制御は独立の研究分野を形成している。

運転シナリオは、プラズマ立ち上げから電流立ち上げ、定常燃焼、終了までを一連の時間発展として設計する統合的な問題である。ITERでは、安全係数 q の分布の形で分類される三つの主要シナリオが想定されている。基準(ベースライン)シナリオは単調な q 分布を持つ従来型のH-mode運転、ハイブリッドシナリオは軸上の q が1近くで低磁気剪断の広い領域を持ち、高いベータと長パルス運転を可能にする。定常状態シナリオは逆磁気剪断と軸外電流ピークを利用し、ブートストラップ電流と非誘導電流駆動によってプラズマ電流を完全に維持することを目指す。どのシナリオでも、q 分布が輸送・閉じ込め・熱的および高速粒子の安定性・ペデスタル構造・SOL/ダイバータとの相性を通じて融合性能を決めるため、個別の物理機構の理解を統合したシナリオ設計と、既存装置での無次元パラメータを合わせた相似実験、および統合モデリングによる外挿が鍵となる。

Schematic of the safety factor (q), magnetic shear (s), and current density (j) profile for three main scenarios in ITER; baseline (red), hybrid (blue) and steady-state (orange) scenario.

fig.2 Integrated operation scenarios: Chapter 6 of the special issue: on the path to tokamak burning plasma operation (2025) · CC BY 4.0

Schematic of the safety factor (q), magnetic shear (s), and current density (j) profile for three main scenarios in ITER; baseline (red), hybrid (blue) and steady-state (orange) scenario.

図は三つの主要シナリオにおける安全係数 q、磁気剪断 s、電流密度 j の半径方向分布の違いを示す。基準シナリオ(赤)の単調な q 分布に対し、ハイブリッド(青)では平坦な分布、定常状態(橙)では軸近くで q が反転し電流ピークが軸外に移る様子が読み取れる。

磁場閉じ込めと慣性閉じ込めのアプローチ

磁場閉じ込めでは、トカマクを主力として燃焼プラズマの実現が進められてきた。D-T実験の実績として、TFTRは3年間で累計1.6 GJ、単発ピーク10.3 MWの融合出力を達成し、JETはDTE1でピーク16 MW、近年のDTE3では1回の放電で69 MJの融合エネルギーを生成した(0.2 mgのDとTを消費)。これらは燃焼プラズマにはまだ届かないが、D-T運転の物理と技術を実証した重要な段階である。ITERは Q ≥ 5、非誘導電流割合最大1.0、パルス300秒以上を目標に建設中であり、アルファ加熱、閉じ込め障壁、圧力・分布制御、ダイバータとの両立という非線形に絡み合った問題を統合的に扱える最初の装置と位置づけられている。ヘリカル装置(LHD、Wendelstein 7-Xなど)は、電流を必要としない定常運転の利点を生かし、温度比とイオン輸送、灰除去、ダイバータ熱負荷といった燃焼プラズマの基礎物理の研究を担う。

慣性閉じ込めでは、NIFにおいて間接NIFにおいて間接駆動方式(レーザーを黒体空洞ホールラウムの壁に当ててX線に変換しカプセルを爆縮する方式)による燃焼プラズマ状態への到達が進められてきた。爆縮の対称性と安定性を保つこと、すなわちレイリー・テイラー不安定性の制御、ホールラウムとカプセルのX線結合の改善、時間変化する爆縮対称性の制御、ターゲット表面の微細構造起因の擾乱の低減が段階的に解決され、アルファ粒子のエネルギー沈着が燃料プラズマへの主要なエネルギー入力となる状態が実現されつつある。磁場閉じ込めが長時間の準定常燃焼を目指すのに対し、慣性閉じ込めは極短時間に高密度の燃焼を実現する点で対照的であり、両者は燃焼プラズマ物理という共通の課題を異なる条件から切り拓いている。

この解説が根拠にした論文から

  • [1]Burning plasmasNuclear Fusion 1990
  • [2]MHD control in burning plasmasNuclear Fusion 2012
  • [3]Burning fraction, radial transport, and steady state profiles of multi-species particles in CFETR burning plasmasNuclear Fusion 2020
  • [4]ITER: burning plasma physics experimentPlasma Physics and Controlled Fusion 2003
  • [5]Toward a burning plasma state using diamond ablator inertially confined fusion (ICF) implosions on the National Ignition Facility (NIF)Plasma Physics and Controlled Fusion 2019
  • [6]Overview of Large Helical Device experiments of basic plasma physics for solving crucial issues in reaching burning plasma conditionsNuclear Fusion 2024

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推移

0.00.30.6燃焼プラズマ197019801990200020102020%
図1 — 燃焼プラズマが、5年ごとにその期間の全論文に占めた割合。コーパスは2010年代が1970年代の9倍あるため、件数のままでは何もかもが増加して見える

研究の変遷

1985–19945本 · 0.09%

初期の燃焼プラズマ理論と診断

燃焼プラズマの概念が登場し、主に理論的考察とアルファ粒子診断の提案がなされた。慣性核融合とトロイダル配位の両方で研究され、CIT計画に応用された。

同時に語られた主題プラズマ診断、慣性核融合、核融合生成物、アルファ粒子

この時代の論文から

  • [1]Burning plasmasNuclear Fusion 1990
  • [2]Theory and calculation of the energy loss of charged particles in inertial confinement fusion burning plasmasNuclear Fusion 1986
  • [3]Localizability of a toroidal burning plasma in the pressure-position spaceNuclear Fusion 1987
  • [4]Self-consistent study of fusion products slowing down in burning plasmasPlasma Physics and Controlled Fusion 1985

1995–200421本 · 0.21%

ITER計画と輸送・安定性研究

ITER設計に基づく燃焼プラズマ実験の検討が中心となり、輸送モデルによる性能予測やアルヴェン不安定性の研究が進められた。ペデスタルやH-modeとの関連も議論された。

同時に語られた主題プラズマ診断、ペデスタル、Hモード、アルファ粒子、アルフヴェン波、乱流輸送

この時代の論文から

  • [1]Overview of ITER-FEAT - The future international burning plasma experimentNuclear Fusion 2001
  • [2]Burning plasma projections using drift-wave transport models and scalings for the H-mode pedestalNuclear Fusion 2003
  • [3]Study of thermonuclear Alfvén instabilities in next step burning plasma proposalsNuclear Fusion 2003
  • [4]Performance of ITER as a burning plasma experimentNuclear Fusion 2004

2005–201429本 · 0.19%

高エネルギー粒子物理とジャイロ運動論的解析

燃焼プラズマにおける高エネルギー粒子とアルヴェン波の相互作用が主要テーマとなり、MHDやジャイロ運動論的シミュレーションによる解析が進んだ。DIII-DやITERを対象とした研究が行われた。

同時に語られた主題電磁流体力学、アルフヴェン波、プラズマ診断、ジャイロ運動論、シア・アルフヴェン波、高エネルギー粒子

この時代の論文から

  • [1]Energetic particle physics in fusion research in preparation for burning plasma experimentsNuclear Fusion 2014
  • [2]Theory of Alfvén waves and energetic particle physics in burning plasmasNuclear Fusion 2007
  • [3]Pellet fuelling and control of burning plasmas in ITERNuclear Fusion 2007
  • [4]Transition from weak to strong energetic ion transport in burning plasmasNuclear Fusion 2005

2015–202648本 · 0.19%

多様な装置での燃焼プラズマ実現へ向けた研究

ITERに加え、Alcator C-ModやDIII-D、JET、LHDなど多様な装置で燃焼プラズマ条件を模擬した実験が行われ、ペデスタルやELM、高速イオン緩和のモデル検証が進められた。SPARCのような高磁場装置を対象とした非線形ジャイロ運動論的予測も登場した。

この記述以降に論文が追加されている

同時に語られた主題プラズマ診断、点火、電磁流体力学、ジャイロ運動論、高エネルギー粒子、トリチウム

この時代の論文から

  • [1]Access to pedestal pressure relevant to burning plasmas on the high magnetic field tokamak Alcator C-ModNuclear Fusion 2018
  • [2]On a burning plasma low recycling regime with PDT = 23–26 MW, QDT = 5–7 in a JET-like tokamakNuclear Fusion 2019
  • [3]Nonlinear gyrokinetic predictions of SPARC burning plasma profiles enabled by surrogate modelingNuclear Fusion 2022
  • [4]Validating predictive models for fast ion profile relaxation in burning plasmasNuclear Fusion 2016

よく登場する装置

iter19jet6diii-d4tftr1lhd1alcator-c-mod1

関連項目

  • ·重水素-トリチウムDeuterium-tritium

この数字の作り方

数え方 —
同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている(Burning plasma、burning plasmas など)。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
割合 —
その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
記述 —
その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
冒頭の定義 —
用語そのものの説明だけは、論文65本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
解説 —
では、9本の論文(うち全文5本)と3枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
範囲 —
収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない

燃焼プラズマ

種別
現象
論文数
103 本
初出
1985–1989 年(4本)
最盛期
2025–2029 年0.50%
ほかの綴り
burning plasmas
主な装置
iterjetdiii-dtftr

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