安全係数(Safety factor)は、核融合・プラズマ物理学の現象。トーラスプラズマ中で磁力線が1周する間にトロイダル方向へ何周するかを表す量で、通常qと書く。qが有理数となる有理面でMHD不安定性が生じやすく、プラズマの安定性・閉じ込めに直結するため、実験ではq分布の測定・制御が重要となる。この用語集が追う論文のうち、タイトルにこの主題が現れるものは66本ある。比重が最も大きかったのは1990–1994年で、その期間の論文の0.20%を占めた。直近の2025–2029年では0.14%。この用語集がこの主題を最初に拾うのは1985年以降で、それ以前の収録論文には現れない。
解説
トカマク型核融合装置における安全係数(safety factor、しばしば q と表記される)は、磁力線がトーラス(ドーナツ)状の閉じた磁気面を一周するとき、トロイダル(環状)方向に何回回ってからポロイダル(短軸)方向に一周するかを表す無次元量である。プラズマを閉じ込める磁場は強い環状場と、プラズマ電流が作る弱いポロイダル場の合成であり、磁力線はこの二つを重ねた螺旋を描く。安全係数はこの螺旋の「緩さ」を測る量で、ポロイダル回転数に対するトロイダル回転数の比として定義される。q が大きいほど磁力線は環状方向に寝ており、q が小さいほどポロイダル方向に巻きつく。この単純な幾何学的な量が、プラズマの巨視的安定性、輸送、運転シナリオの設計を左右するトカマク研究の中心概念の一つとなっている。
q の定義と物理的意味
磁気面を半径方向に座標 r(または正規化された r/a)で表すと、安全係数は q(r) = r B_t / (R B_p) と書ける。ここで R はトロイダル大半径、B_t と B_p はそれぞれトロイダルおよびポロイダル磁場である。プラズマ電流 I_p が B_p を作るから、q は本質的に「プラズマ電流に対する逆数」の量であり、電流を増やせば q は下がる。プラズマ最外殻での値 q95(境界から少し内側の磁気面での値)は運転領域の指標として広く用いられ、典型的なトカマク放電では 3 前後、高ベータ運転では 2 程度まで下げられる。
q が重要なのは、磁力線に沿った接続長や粒子の軌道が q に直接依存するためである。q が小さいほど磁力線はポロイダル方向に短く閉じ、捕獲粒子のバウンス周波数や軌道幅が変わり、新古典輸送や乱流の線形成長率に影響する。実際、プラズマ電流を増やしてエッジの q を下げると、エッジの E×B 速度の剪断(半径方向電場の井戸)が深くなることが実験的に示されており、これは L モードから H モードへの遷移しきい値や閉じ込めのプラズマ電流依存性の一つの説明となる。つまり q は単なる磁場幾何の記述子ではなく、閉じ込め性能を支配する輸送特性と直結している。
q プロファイルと磁気剪断
安全係数は一つの数値ではなく半径方向のプロファイル q(r) として扱われる。その勾配 dq/dr は磁気剪断(magnetic shear)と呼ばれ、隣り合う磁気面の間で磁力線のピッチがどれだけずれるかを表す。標準的なオーム加熱放電では中心で q が最小(しばしば 1 近傍)、外縁に向かって単調に増えるプロファイルをとる。

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研究の変遷
1985–19947本 · 0.13%
安全係数分布の計測と閉じ込め・MHD安定性への関連付け
モーションル・スターク効果やペレットアブレーションによる安全係数分布計測が登場し、JETやDIII-Dなどでエネルギー閉じ込めやMHD活動との関係が調べられた。鋸歯状振動との関連も注目された。
同時に語られた主題エネルギー閉じ込め、鋸歯状振動、ペレット消滅、モーション・シュタルク効果、電磁流体力学、イオンサイクロトロン加熱
この時代の論文から
- Determination of the safety factor profile in TORE SUPRA from the largest striations observed during pellet ablationNuclear Fusion 1992
- Effects of the safety factor and the internal inductance on MHD activities and energy confinement in JT-60UNuclear Fusion 1993
- Examination of energy confinement in DIII-D at small values of the plasma safety factor
よく登場する装置
この数字の作り方
- 数え方 —
- 同じものが別の名前で書かれていてもまとめて数えている。綴りが変わった時期に推移が動いて見える、ということは起きない
- 割合 —
- その時代の収録論文全体に占める比率。コーパスは1970年代より2010年代のほうが9倍大きいため、本数のままではほとんどの主題が右肩上がりに見えてしまう
- 記述 —
- その時代の論文・共起する主題・登場する装置だけを根拠にAIが書いている
- 冒頭の定義 —
- 用語そのものの説明だけは、論文50本の要旨を読ませたうえでAIの分野知識で書かせている。ここだけは収録論文に書かれていることの要約ではない
- 解説 —
- では、7本の論文(うち全文3本)と2枚の図版を読ませたうえでAIが書いている
- 範囲 —
- 収録は6誌に限られる。ここで減っていることは、分野がその取り組みをやめたことを意味しない

